道尾秀介『カササギたちの四季』

　こういうレベルの小説は極力読まないようにしているのだが、ついつい読むべき小説が手許になかったため仕方なく読み始めた。少し読んでこれはダメだな、と思うが、読み始めてしまったし、他に今は何もないから我慢して２日（電車２往復）を過ごした。

　４話からなる連作というよくあるパターン。よく似たタイプの小説である三浦しをん『まほろ駅前便利軒』とのあまりの落差はどうしようもない。それにしても、もう少しリアルに書けないのだろうか。あまりに嘘くさくて、これでは読む気が失せる。話の作り方を極度のパターンにするのも、スタイリッシュというよりも、なんだか、安っぽくて、嘘臭い。まるで意味のないトリックとも言えないような話には閉口させられる。あきれるしかない。こんなにも簡単に泥棒ばかりが出てきて、彼らのせいにするって、どうだろうか。さすがに最初と最後は同一犯にするのだが、それでも偶然に頼りすぎ。そんなうまく偶然は重ならないです。

　ここにはリアルという感覚はなくて、ヘタな作り話でも読ませておけば読者は喜ぶとでも、思っているのか。まぁ、暇つぶし程度にはなるけど、こんなのを読む時間があるなら電車の中で寝てたほうがましかもしれない。