3本目の「ウイングカップ8」参加作品だ。当日配布のアンケートを見ると、2014年9月からスタートして毎月新作の公演をこなしている。すでにこれが28回公演で、来月11月公演のチラシが入っている、のではなく、出演者募集の案内が当日配布されていた。ということは、この公演のあと、新人も入れて、11月22日から29回公演が挙行されるのだ。吉本興業の若手芸人たちによるユニットだから、それくらいのこと、たやすいのかもしれないけど、普通の小劇場演劇ではありえないことだ。昨年ウイングカップに参加していたべろべろバンキュウ女も凄い勢いで公演をこなしていると聞いたが、その比ではない。(まぁ、当然だろうけど)
そんな彼らの舞台を初めて見た印象は、とても勢いがある、ということだ。まぁ、これも当然だろう。荒削りで、無茶苦茶な話だけど、気にしないでどんどん突き進んでいく。有無を言わさない。100分の作品だが、3話からなるオムニバススタイルにもなっている。(一つの話で作るのは短期間の制作期間では難しいのだろう)
学校を舞台にした冗談のようなホラーなのだが、どこまで本気で作っているのか、よくわからない。(そこを凄いというべきか?)
授業中、生徒が先生のことを「お母さん」と間違って呼んだことからお話は始まる。たったそれだけのネタで30分以上引っ張る。2話目は、夜の学校に忍び込んだ不審者(の若い女)と用務員の話。恋愛ものに進展する。3話目は、火事になった学校の屋上での自殺騒ぎ。どの話も思いつき程度のものだけど、それをしっかり30分(多分に無理矢理だけど)引き延ばしてみせる。
残念なのは、そこにそれ以上の意味がない、ということだ。表層的なお話や、笑いから「その先」に話はいかない。リアリティがないことをとやかく言う気はない。面白ければリアルじゃなくてもかまわない。だけど、リアルじゃないと、観客は飽きる。でも、作者は飽きられる前に終わらせる。ずるい、といえば確かにずるいけど、これはこれでひとつのやり方だろう。このお話を通して描きたかったことなんか、ないのかもしれない。だけど、それではいつか、あきられる。