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映画・演劇のレビュー

『Nyan SELECT2015』 Bプロ

2015-12-23 19:50:28 | 演劇

今年もNyanは歳末に『Nyan SELECT2015』を行う。恒例になっている。1年のお終いに、今年1年を振り返って、ここで何が出来たのか、何がしたいのか、を改めて再確認する作業だ。オーナーの山崎さんは自分の劇団の公演と共に、ここを利用してくれて団体への感謝を込めて、この短編集を企画した。今年は5団体が参加する。

僕が見たのはBプロの3本なのだが、知らない集団の作品に接するのは、緊張する。それが刺激的だったなら、うれしいけど、つまらなかったなら、困った気分になる。まぁ、当たり前の話なのだが、そんなこんなで、まずは、NoizyBloom『愛色の筆触』から。

3人芝居で、ラブストーリー。遺品整理をするお話。死者(消息を絶っていた恋人)の残した記憶をたどりながら、彼の想いを、彼との思い出を、振り返る。そこからこれからの自分の生き方を考える。まじめで、丁寧な芝居への取り組みが感じられ、好感が持てた。30分の作品としてきちんとまとまっている。

2本目は、少年ピカレスクロマン『ただそこにある命の情景』。こちらは少しコメディタッチの作品で、2人芝居。閉園した動物園を舞台にして、そこにとどまる少女と、清掃担当者(それがなぜか、ウナギ犬)のやり取りを描く。鰻犬子なんていう名前で、虐められ、生きる気力を無くした少女をウナギ犬が慰める話で、冗談みたいな設定をシリアスに展開する。笑いながら切なくなるといいのだが、そこまではいかない。少し、中途半端で残念。

最後は、いつも通り、Nyan主宰の山崎さんのユニット。劇団TCN『忘れえぬキミ』。いつも同じで、メルヘンタッチのおとぎ話。もちろん、猫たちのお話だ。ぬいぐるみ猫のクーも出てくる。お約束を守りながら、新しい物語を見せてくれる。山崎さんの世界をいろんな形で毎年提示してくれる。この変わらない姿勢がすばらしい。

最近はあまり、Nyanで芝居を見ることはないのだが、久しぶりにここにきて、ここらしい空間(毎回この企画は舞台美術に凝っている。今回もアクリル板を利用した大胆な空間作りが楽しい)での芝居を見ると、こんなのも確かにありだな、と感心させられる。


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