習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『20世紀少年 第2章 最後の希望』

2009-02-06 22:58:56 | 映画
 待ちに待った第2章である。2015年、「ともだち」に支配された日本を舞台に成長したカンナ(平愛梨)を主人公にして彼女たちの戦いが描かれる。東京万国博覧会開催と死んでしまった「ともだち」の復活をクライマックスにして、お話はある種のルーティーンワークのもとに描かれる。3部作全体の構成は実に巧みだ。

 だが、正直言うともう飽きた。あまりに作り方がパターン化しており、前作のドキドキはもうなくなった。2015年という未来社会の描き方もなんだかありきたりで安物のSFを見てるようで、つまらない。大体「ともだち」のよみがえりなんてあまりに話がちゃちすぎてついていけない。前作のラスト、巨大ロボット出現のシーンはその荒唐無稽さが実に魅力的だったのに、もう2作目で飽きさせるってなんなんだろうか。

 それは僕たち観客が悪いのではない。映画が観客の想像力を下回るからだ。この話の魅力は未来が過去の懐かしさから発想されているところにあった。無邪気に子供が書いた空想の未来が現実になっていくことの恐怖。それは現実の時間を越えてしまった瞬間恐怖ではなくただの陳腐なものとなる。子供の想像力を上回るイメージが子供の発想を根底にして生まれてくるというコンセプトがここではもう薄れていく。

 新しいキャラクターがことごとく安っぽいのはなぜだ?あれから15年が経って変わってしまった日本と世界の状況があまり克明には描けてない。ただの絵空事にしか見えないから、しらけてしまうのだ。映像のほうも、安っぽい。緻密に組み立てられたお話に引き込まれると乗れるのだが、これではだんだん醒めてしまうしかない。豊川悦司なんかただひたすら嘘くさいだけ。チャイニーズ・マフィアとタイ・マフィアとの抗争なんていうのも説得力なくてペラペラ。カンナに秘められた能力も描けてないから、なんでこんなに彼女が活躍できるのかわからない。完結編はもちろん見るけど、なんとか最後には持ち直してもらいたいものだ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『チェ 39歳別れの手紙』 | トップ | 中島京子『ハブテトル ハブ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。