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映画・演劇のレビュー

『この心亡き者』

2024-02-03 09:38:00 | 映画

台湾の新作映画で、スリラーサスペンス。こういう映画が本国公開から日本ですぐに見ることができるって凄い時代になったものだ。傑作というわけではないし、どちらかと言うと失敗作である。だけど見る価値はある。

 まず、そのルックスが素晴らしい。ひんやりとした夜の空気が確かに伝わってくる。映像がスタイリッシュで切り取られた画角が斬新でカッコいい。デビット・フィンチャーの『セブン』を想起させる。心臓と薬指がない死体、という始まりの設定もいい。さらには主人公が自殺しようとしているところから始まるというのも衝撃的な出だしでいい。摑みはばっちりである。
 
連続殺人の犯人を追うふたりの女性刑事。心を病んだ恋人が自殺して、自分も夜の河原で自殺しようとしていたところに女がいきなりやって来る。車から出て、そこで死体と遭遇。そのままその殺人事件の捜査を任されることになる。彼女の相棒に指名されたもうひとりの刑事は新人。彼女の教育係も兼ねて捜査にあたることになる。
 
バディを組む新米は主席で警察学校を出たばかりの超エリートだ。だが、まるで役に立たないボンクラ。ちょっとしたコメディリリーフを担うことになる。そんな彼女だが、主人公のクールビューティとは違ってこちらは今田美桜似のかなりかわいい女の子。このふたりが不法移民の女性ばかりを狙う異常者を追い詰める。
 
話は単純だけど、見せ方がストレートではない。故意に複雑な構成になっている。だから最初は人間関係も含め何がなんだかわからない。少し戸惑うくらいだ。
 
さらには終盤になって犯人がわかってからの展開がムダに長い。しかも犯人のサイコ野郎があまり怖くない。この心亡き異常者をもっとしっかり描いて欲しかった。そういうことだから雰囲気はいいけど、話にはまるで乗れないということになる。だいたい話の展開が雑すぎ。これではもったいない。
 
全体の構成に不備があり、思ったほど面白くはならなかったのが残念だが、こういう作品もいち早く見ることができるっていうのはやはりうれしい。今配信作品は宝の宝庫だ。

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