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映画・演劇のレビュー

『ゴーストライダー』

2007-06-30 08:42:04 | 映画
 マーブルコミック映画化シリーズの新作『ゴーストライダー』を今頃見た。この映画は3月に公開され、後発の『スパイダーマン3』の大ヒットを尻目に(先陣を切るはずが)驚異の大不入りを記録し、消えていった作品である。こんなものを今頃再上映するのはホクテンザしかない!ということで、いつものように数人の客とわびしく見た。この映画にこの劇場はよく似合っていた。

 映画自体は実はなかなか良く出来ている。ニコラス・ケイジを主役に据え、人間ドラマとしても良くできているし、もちろんヒーローもののアクションとしても問題ない仕上がりだ。

 それだけにこれは酷い動員だ。この手の映画はよほどのことがないと口コミには期待できない。知名度がゼロのハンディーは大きい。同じマーク・スティーブン・ジョンソン監督の『デアデビル』も日本では全くダメだったからしかたないことかもしれないが、こんなにもしっかり作ったのに可哀想な気がする。

 ストーリーが単純なのはこの手の映画なら当然のことで、そんな中で共感が抱けるような主人公の苦悩を描き、その上であっと驚くようなSFXが上手く融合すれば、極上のエンタテインメントに仕上がる。そういう意味でも悪くない映画だ。『ファンタスティック4』とか『Xメン』シリーズなんかよりずっといい。とはいえ、同じ時期に同じような映画は2本はいらないということだろう。『スパイダーマン3』を見る人は『ゴーストライダー』は見ないし、『スパイダーマン3』を見ない人はもちろん『ゴーストライダー』も見ない。ただそれだけのことなのだろう。

 一番最初の『仮面ライダー』を思わせるストーリーもいい。さらには、ピーター・フォンダとかサム・エリオットといった渋いキャスティングもたまらない。西部劇の感覚を大事にした作り方だっていい。派手な見せ場と、丁寧な人物描写。実にオーソドックスなのだ。でも、こういうマニア受けするような映画だからダメなのかもしれないが。

 

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