ダイアン・アーバスが写真を撮り始めるきっかけとなった出来事を描く幻想的なドラマ。これは彼女の自伝ではなく、彼女のイメージを映画化したという断り書きが最初にクレジットされる。現実と幻想のあわいに生きた彼女の世界を一つの事件を通して描いていくというスタイルは買うが、必ずしも上手くはいってない。
ひとつ上の階に引っ越してきた顔に包帯を巻く謎の男に心惹かれ、彼との付き合いを通して、現実世界から幻想の世界へと、彼女自身の心が動き、今まで虚飾の世界に生きていた自分が本来の自由を取り戻していく過程が描かれる。ニコール・キッドマンが、いかにもの演技で悪くはないが少し鼻に付く。
前半はとても面白い。おどおどしながら生きてきた彼女が、階上の男を訪ねていくことを通して、少しずつ変わっていく。自分が何を求めて、何処にむかって動いていくのかすら分からないけど、そこにはほんとの自分があり、そんな自分を捜し求める。全くストーリーが読めないのもいい。多毛症の男(『美女と野獣』のビーストみたいで笑える)に、出会い、フリークスたちの姿を通して、彼女が安らげる場所をこの世界に見出していく。
夫はそんな彼女に不安を感じる。どんどん離れていく彼女を引き止めるため、階上の毛むくじゃら男に張り合うように、顔に髭を蓄えていくという愚行を犯す。涙ぐましい努力だが、当然そんなことが問題ではない。彼女の心はどんどん離れていく。
映画はこのへんからだんだんつまらなくなっていく。階上の男が謎ではなく当たり前に登場するようになるとその姿の滑稽さが、映画のリズムを壊す。ニコールは透明でガラス細工のような女性を見事に演じ、気付くと、いつのまにか逞しい女性になっていくのは凄い。しかし、たくましくなるにつれて映画自体の魅力もなくなる。彼女が写真に対して何を求め、どう満たされていったのかが、もう少し上手く描けたらよかったのだが。
階上の男の顔は慣れてきたらチューバッカだし、ラストで全身の毛を剃っていくと、ロバート・ダウニー・jr.が現れるというのもなぁ、と思う。お笑いではないんだから。
前半はデビット・リンチの映画を見ているような興奮があったのに、ネタバレしてからは、完全に弛緩してしまってストーリーも単調になるのが残念でならない。
ひとつ上の階に引っ越してきた顔に包帯を巻く謎の男に心惹かれ、彼との付き合いを通して、現実世界から幻想の世界へと、彼女自身の心が動き、今まで虚飾の世界に生きていた自分が本来の自由を取り戻していく過程が描かれる。ニコール・キッドマンが、いかにもの演技で悪くはないが少し鼻に付く。
前半はとても面白い。おどおどしながら生きてきた彼女が、階上の男を訪ねていくことを通して、少しずつ変わっていく。自分が何を求めて、何処にむかって動いていくのかすら分からないけど、そこにはほんとの自分があり、そんな自分を捜し求める。全くストーリーが読めないのもいい。多毛症の男(『美女と野獣』のビーストみたいで笑える)に、出会い、フリークスたちの姿を通して、彼女が安らげる場所をこの世界に見出していく。
夫はそんな彼女に不安を感じる。どんどん離れていく彼女を引き止めるため、階上の毛むくじゃら男に張り合うように、顔に髭を蓄えていくという愚行を犯す。涙ぐましい努力だが、当然そんなことが問題ではない。彼女の心はどんどん離れていく。
映画はこのへんからだんだんつまらなくなっていく。階上の男が謎ではなく当たり前に登場するようになるとその姿の滑稽さが、映画のリズムを壊す。ニコールは透明でガラス細工のような女性を見事に演じ、気付くと、いつのまにか逞しい女性になっていくのは凄い。しかし、たくましくなるにつれて映画自体の魅力もなくなる。彼女が写真に対して何を求め、どう満たされていったのかが、もう少し上手く描けたらよかったのだが。
階上の男の顔は慣れてきたらチューバッカだし、ラストで全身の毛を剃っていくと、ロバート・ダウニー・jr.が現れるというのもなぁ、と思う。お笑いではないんだから。
前半はデビット・リンチの映画を見ているような興奮があったのに、ネタバレしてからは、完全に弛緩してしまってストーリーも単調になるのが残念でならない。