岩井俊二プロデュース、北川悦吏子監督、脚本による作品。と、まずそこが売りになるって凄い。中山美穂、向井理主演ということよりもそっちが先、なのである。まぁそれはきっと一部のファンだけで、実際はそこがセールスポイントではないだろうけど。主役の2人の名前と同じくらいに岩井、北川の名前も露出している。もちろん、このコンビの作品というだけで、期待も高まる。
とてもおしゃれな映画だ。まるで、フランス映画を見ているような気分。それはパリが舞台になっているからではない。アプローチの問題なのだ。主人公の2人の切り取り方が、普通の日本映画とは違う。少し突き放したようなタッチ。ベタにはならない。ずっとパリで暮らしている40代の日本人女性が、観光でやってきた若い男と知り合い、たった3日間の恋に落ちるという夢のような話にリアリティーを与えるのは、主人公への距離感だ。ただの夢物語ではなく、日常の延長にこの偶然の出来事を設定する。あくまで、いつもの生活があり、これは特別な時間じゃない、と彼女は思うことにするというスタンスのもとで、この淡い恋の出来事を体験する。絶対に無理はしない。それはお互いがちゃんと心得ている。大人の恋、とかいうわけではない。でも、ちゃんといろんなことをわきまえている。情熱的な運命のドラマなんていう「映画」のような出逢いではない。たまたま出逢い、関わりを持ち、別れていく。
これは『ローマの休日』の現代版のような、作品。ロマンチックな恋の物語。でも、ロマンスではない。ほんのちょっとした、でも、特別な出来事。一歩間違えれば小林政広監督の『白夜』のような映画にもなりそうな企画。『映画 ホタルノヒカリ』みたいにもなる可能性はあった。でも、あれらの惨い映画とはもちろん違う。パリの観光案内になってもおかしくはないし。でも、そうもならない。それは北川悦吏子監督のセンスのよさか。まず、ちゃんと街歩きの映画にもなっているのがいい。でも、有名な観光地を紹介するようなこともしないし、これみよがしな見せ方もしない。あくまでも主人公2人に寄り添う。カメラは2人を追う。するとパリの街がその背後にある。エッフェル塔や凱旋門、シャンゼリゼを歩いたりもする。でも、それがさりげない。
嘘だろ、というくらいに都合よくお話は展開する。2日間も彼女の家に泊まり、ホテルに戻らないだなんて、ありえない。彼女の傷みに触れ、それを優しく包み込む男なんて、そんな上手い話はない。じゃぁ、作りごとのメルヘンなのか、というと、そんな作り方もしない。映画だから、映画のルールを守って、夢見るように見せるのか、というとそれも少し違う。2組の男女を描くという構造は、あまり上手くいってない。妹の話が中途半端で嘘くさい。いろいろダメな部分はないわけではない。でも、なんだか、清々しいし、気持ちがいい。
まるで向井理と一緒に、3日間のパリ旅行をした気分になる。でも、なんかそれってどうだかなぁ、だけど。いろんなことに深入りしないのがいいのだろう。だいたいそれをすると嘘くさくなるし。
とてもおしゃれな映画だ。まるで、フランス映画を見ているような気分。それはパリが舞台になっているからではない。アプローチの問題なのだ。主人公の2人の切り取り方が、普通の日本映画とは違う。少し突き放したようなタッチ。ベタにはならない。ずっとパリで暮らしている40代の日本人女性が、観光でやってきた若い男と知り合い、たった3日間の恋に落ちるという夢のような話にリアリティーを与えるのは、主人公への距離感だ。ただの夢物語ではなく、日常の延長にこの偶然の出来事を設定する。あくまで、いつもの生活があり、これは特別な時間じゃない、と彼女は思うことにするというスタンスのもとで、この淡い恋の出来事を体験する。絶対に無理はしない。それはお互いがちゃんと心得ている。大人の恋、とかいうわけではない。でも、ちゃんといろんなことをわきまえている。情熱的な運命のドラマなんていう「映画」のような出逢いではない。たまたま出逢い、関わりを持ち、別れていく。
これは『ローマの休日』の現代版のような、作品。ロマンチックな恋の物語。でも、ロマンスではない。ほんのちょっとした、でも、特別な出来事。一歩間違えれば小林政広監督の『白夜』のような映画にもなりそうな企画。『映画 ホタルノヒカリ』みたいにもなる可能性はあった。でも、あれらの惨い映画とはもちろん違う。パリの観光案内になってもおかしくはないし。でも、そうもならない。それは北川悦吏子監督のセンスのよさか。まず、ちゃんと街歩きの映画にもなっているのがいい。でも、有名な観光地を紹介するようなこともしないし、これみよがしな見せ方もしない。あくまでも主人公2人に寄り添う。カメラは2人を追う。するとパリの街がその背後にある。エッフェル塔や凱旋門、シャンゼリゼを歩いたりもする。でも、それがさりげない。
嘘だろ、というくらいに都合よくお話は展開する。2日間も彼女の家に泊まり、ホテルに戻らないだなんて、ありえない。彼女の傷みに触れ、それを優しく包み込む男なんて、そんな上手い話はない。じゃぁ、作りごとのメルヘンなのか、というと、そんな作り方もしない。映画だから、映画のルールを守って、夢見るように見せるのか、というとそれも少し違う。2組の男女を描くという構造は、あまり上手くいってない。妹の話が中途半端で嘘くさい。いろいろダメな部分はないわけではない。でも、なんだか、清々しいし、気持ちがいい。
まるで向井理と一緒に、3日間のパリ旅行をした気分になる。でも、なんかそれってどうだかなぁ、だけど。いろんなことに深入りしないのがいいのだろう。だいたいそれをすると嘘くさくなるし。