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映画・演劇のレビュー

『アイアンマン2』

2010-07-15 23:17:05 | 映画
 前作を見たとき、なぜこんな映画になるのか、と考え込んでしまった。つまらないはずはなかったのだ。大人向きのヒーローもの、というのが、作られてもいいと思うし、これがそうであったなら、と期待した。なのに、出来上がった作品はなんとも中途半端で納得のいかない映画だった。武器商人が、正義の戦士になる、なんていうなんともシニカルな設定がいいな、と思ったのに。

 主人公のトニーは戦争で金儲けをしてきたある意味では極悪人だ。なのに本人は望まないまま諸事情から改心せざる得なくなりアイアンマンとなり、世界の平和を守ることになる。こんな役を演じられるのはロバート・ダウニー・Jrしかいない。ダークヒーローではない。だが、本気でヒーローをやってるわけでもない。

 自分がアイアンマンであることを、簡単にカミングアウトしてしまうし、それを売りにして商売に役立てるなんて、相変わらずあくどい。政府がアイアンマンスーツは武器だから、よこせ、というのだが、聞く耳を持たない。自分の命が危ないと知って、すぐにやけになるし、こんな勝手な男はない。この映画のこういう設定の面白さが、なぜか生かされないのか。敵役にミッキー・ロークを呼んできて、2人のバトルを見せるというのも良いアイデアだと思った。なのに、まるで盛り上がらない。

 台本が悪すぎるのだ。このお話の面白さがまるで生かしきれていない。この作者は何が面白いのか、それすらわかっていないのではないか。今時単純にスカッとする映画なんか不可能である。ならば、どうするのか。周囲のシニカルな視線を受けて、そんななかで仕方なくヒーローへと追いつめられていくトニー・スタークが見たかった。なのに、この話からどうしてこんなにも単純なアクション映画が生まれるのか、訳がわからない。

 『ダークナイト』とはまた違う視点から新しいタイプのヒーローものが生まれたなら面白い、と思った。それが出来る素材だと信じた。だが、この映画はまるでわかってない。


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