土橋流エンタテインメント。とても解り易くて、メリハリのある芝居なので2時間があっという間に過ぎていく。個性的な面々が暮らす作家マンションを舞台にして、そこでの人間模様が描かれていく。これで、事件か何かが起きて、その中で右往左往する様を描いたりしたら全く別の芝居になりそうなフォーマットなのだが、もちろんそんなふうにはしない。しかし、そんな展開があってもおかしくないような構成になっている。
今までの土橋くんならこんなにもキャラクターが立つ芝居にはしなかった。もっと芝居自体をフラットなものにして、そんな中で彼らの内面をじっくりと掘り下げた芝居作りをしてきたはずだ。なのに今回は敢えてそういう従来のやり方を踏まない。まずお話としてこの芝居を見せてしまう。その分、解りやすくて楽しい作品にはなった。エピローグなんてオチとしてはちょっと遣り過ぎだと思うが、はっきりした芝居が好きな人からは、見事なエンディングだと好評を博したはずだ。
本当は主人公2人の関係性のみに絞り込んで、お互いが補完的な存在であるにも関わらず、決して完璧にはなれず、傷つけあうことでしか満たされない思いを突き詰めて描いてくれたなら面白い作品になったはずだ。
作家と編集者。女と女。2人の間にあるものは普通の恋愛ではない。もっと切実なものがある。なのにいつの間にかそこを曖昧にしてしまい、群像劇みたいな様相を提示してしまう。南田さんのような濃いキャラクターに自由に芝居をさせていくのはいいことだと思うが、作品自体が目指す方向性を見失っている気がする。これではフライヤーにある「他者と共にあることの意味」が突き詰められていない。
土橋くんならいくらでもそれが描けたはずだし、2人の問題だけで芝居は充分成立する。傷つけあうことでしか確認できないもの。煮詰まっていく関係の中でボロボロになってしまう心。そんな中でどういう選択を2人がしていくのかをじっくりみせるべきだった。
今までの土橋くんならこんなにもキャラクターが立つ芝居にはしなかった。もっと芝居自体をフラットなものにして、そんな中で彼らの内面をじっくりと掘り下げた芝居作りをしてきたはずだ。なのに今回は敢えてそういう従来のやり方を踏まない。まずお話としてこの芝居を見せてしまう。その分、解りやすくて楽しい作品にはなった。エピローグなんてオチとしてはちょっと遣り過ぎだと思うが、はっきりした芝居が好きな人からは、見事なエンディングだと好評を博したはずだ。
本当は主人公2人の関係性のみに絞り込んで、お互いが補完的な存在であるにも関わらず、決して完璧にはなれず、傷つけあうことでしか満たされない思いを突き詰めて描いてくれたなら面白い作品になったはずだ。
作家と編集者。女と女。2人の間にあるものは普通の恋愛ではない。もっと切実なものがある。なのにいつの間にかそこを曖昧にしてしまい、群像劇みたいな様相を提示してしまう。南田さんのような濃いキャラクターに自由に芝居をさせていくのはいいことだと思うが、作品自体が目指す方向性を見失っている気がする。これではフライヤーにある「他者と共にあることの意味」が突き詰められていない。
土橋くんならいくらでもそれが描けたはずだし、2人の問題だけで芝居は充分成立する。傷つけあうことでしか確認できないもの。煮詰まっていく関係の中でボロボロになってしまう心。そんな中でどういう選択を2人がしていくのかをじっくりみせるべきだった。