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映画・演劇のレビュー

『僕のニューヨークライフ』

2007-07-30 08:18:26 | 映画
 『マッチポイント』で初めてニューヨークを離れ海外での映画作りを体験したウディ・アレンの最新作。作品としてはこちらの方が先に完成しているのかもしれない。きっとそうだろう。(そんなこと調べればすぐに分かるが今は気にしない)

 相も変わらぬ巧みな作劇に引き込まれ、ラストまで一気に見せられる。若手劇作家と教師をしながら売れないコメディーの台本を書いている60代の男。彼ら2人の交流を中心に据えながら、映画自身の核は、主人公の青年(ジェイソン・ビックス)の仕事、恋愛のあり方を見せていく部分においている。

 主要人物は4人。この2人に、青年のマネージメントをする男(ダニー・デビート)、さらには青年の恋人である自分をデブ女と蔑むくせに、とても自己中の女(クリスチナ・リッチ)。彼らが織り成す物語を、いつものようにマシンガン・ト-クで描き、彼らそれぞれの思いがそこから見え隠れすることになる。

 そして、ラストでは彼が住み慣れたニューヨークを離れていくまでが描かれる。一緒にカリフォルニアに行こうと、しつこくく誘っていたウディ・アレン本人が演じる初老の男は、最後の最後でドタキャンしてしまう。

 この2人の主人公を通してウディ・アレンは今の自分の気持ちをとてもストレートに代弁している。この作品の後、初めてニューヨークを離れロンドンで映画を撮るのだ。この映画はそのための助走になっている。(はずだ)映画1本作らなくてはそんな覚悟を決めれないというところにもウディ・アレンらしさが漂う。

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