習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

ミクル・ミュージカル・カンパニー『メッセンジャー』

2007-07-30 08:52:59 | 演劇
 ミクル劇団を見るのは久しぶりのことだ。以前学校の視聴覚担当をしていた時何度か見たが、それ以降見ていない。今回10数年ぶりに見て、なかなか楽しめたことの驚いている。

 演劇の入門として、これはこれでよく出来ていると感心した。初めて本格的にお芝居を見る高校生に対して何を見せるべきか、は難しい課題だ。音響と照明がこんなふうに入るということ、ダンス・シーンを交えてショーアップしたら、どうなるのか、というナマの舞台を楽しんでもらうという面ではこれは悪くない。

 表現面だけでなく、内容面でも、学校でのイジメとか、障害を持った子供とどう接するかとか、あらゆるマニュアルが詰め込まれてある。

 客観的に1本の芝居としてこれを見たなら、作り方の甘さとか、テーマに対する求心力のなさとか、気になる部分は多々あるが、だからといってこれを批判する気にはならない。ミユージカルという形式で分かりやすくテーマを伝え、2時間以内にコンパクトに纏めてあるし、映画『ゴースト NYの幻』ネタもわざとらしくなく、さりげなくとりこんであり、ラストまで興味を繋ぐことにも成功している。

 昔、自分が視聴覚担当をしていた時、小劇場の魅力を高校生になんとかして伝えようとかなり努力した。僕がその時チョイスしたのは、199Q太陽族(もちろん今の劇団太陽族だ)と、パノラマ・アワーの2劇団。特に前者に関しては当時かなりの冒険だったと思う。学校まわりをしている劇団ではなく普段は高校生とは接点を持たない劇団を、芝居なんかに興味なんかない高校生にぶつけたらどうなるのかを試してみたかったのだ。ウイング・フィールドでした作品を森之宮の青少年会館に持ってきて上演するというのも無謀だったが、岩崎さんたちは快く引き受けてくださった。あれからもう15年が経つ。

 今では視聴覚担当なんてまわってこないし、(僕が芝居好きだなんて学校では誰も知らないしね)あまり興味もない。でも、あの頃は純粋に芝居や映画を見せることで高校生の意識を変えてみせるなんて思っていた(ようだ)。真面目で立派な先生だった(はず)。もちろん基本的には今もあの頃と変わりないが。

 そんなことを考えながら、ぼんやりとこの芝居を見ていたら2時間退屈はしなかった。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『僕のニューヨークライフ』 | トップ | 安東みきえ『夕暮れのマグノ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
再開 (いしかわつばさ)
2011-10-05 16:43:27
一番感動した所は、最後のゆうちゃんと、再開した所です。もう涙でそうなくらい感動しました。また、葉山小学校にぜひ、来て下さい。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。