なんだか可愛いタイトルなのだが、これは50代の冴えないおじさん(大学で非常勤講師をしている小松)が主人公で、彼が、年下の友人宇佐美(だから、うさちゃん)と、飲みながら話す。それだけ。
小松とうさちゃん。それに小松が好きになる同じ年(だから52歳)の女性みどりさん。(彼女にはちょっした秘密がある)この3人のお話で、短いエピソードとすら言えないほどのお話がどんどん綴られていく。3人の主観で、彼らのエピソードが順番に交錯する。2,3ページで、語り手が変わるから目まぐるしい。うさちゃんが二人の恋の指南をする。お互い独身で、「もう恋なんかいいかぁ、」とも思うけど、なんだか時めくし。いい年下大人でも、恋はする。しかも、小松は恋に奥手で、今まで、ちゃんと女の人とお付き合いしたことがない(?)のか? そんなことはないかぁ? ちゃんと描かれてないからわからないけど、まぁ、そこはプライバシーだし、失礼だし、だから、作者もそこを避けて敢えて書かない。
なんだか、どストライクの恋愛小説なのだ。でも、それをまるで日常の中で淡々と描くから、お話というより、ただのどこにでもある人たちに営みに見える。小説を読んでいるような気にならないくらいに、さりげない、ということなのだ。で、嘘のような展開でハッピーエンド。それはそれは「えっ!」と思うくらい、なのだ。でも、そんなこんなで、なんだかとても幸せな気分にさせられる。