『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワイティティ監督がまたやってくれた。はちゃめちゃで感動的な作品である。かなりの問題児が主人公の映画。彼はふてぶてしくてかわいくない。
だけどこんな男の子を主人公にしたバディー映画って、確実にあの傑作『ジョジョ・ラビット』と似ている。今回のふたりもあの作品の少年とヒトラーにつながる。これはそんな映画である。この少年と彼の保護者になるじいさんの話だ。
児童相談所からやって来た少年はこの自然の中の家で初めて自分の居場所を見つける。だが養母の死から再び施設に戻されることになり、養父のじいさんとふたり、追っ手から逃れるためにブッシュの中をさ迷い逃亡することになる。
これは13歳のふとっちょ少年と頑固なジジイ(なんとサム・ニール)の冒険活劇なのである。なんと最後は戦争だ。これは21世紀の『明日に向かって撃て!』か。
日本では未公開だった2016年作品。配信で公開された。有り難い。こういう密かな秀作を探してきて公開してくれるのは嬉しい。新作もいいけど、発掘も大歓迎。これはタイカ・ワイティティの原点であり、彼の才能の見事な成果。彼はこの映画でニュージーランドからハリウッドに招かれて『マイティーソー バトルロワイヤル』を撮ったようだ。
ニュージーランドの自然を背景にして少し捻くれたふたりの歳の離れた男たちの友情を描く。まぁツッコミどころ満載のファンタジーだけど、楽しくて心地よい。