久しぶりに「純文学」を読んだ。重くて暗い。読んでいて疲れる。へこんでしまう。大体タイトルからして、そうだ。でも、我慢して読む。たまにはこういう小説も読まなくては。人間楽ばかりしていたらダメになる。
刑務官が主人公だ。彼が死刑囚(山井)と向き合う。2人の夫婦を殺した20歳。山井は控訴しない。なぜか? 死ぬことが怖くないのか?そんなはずはない。ではなぜ?
主人公は施設で育った。この仕事に就いて、更生するために収容された犯罪者と向き合うが、それは決して楽しい仕事ではない。死刑に関しても割り切れない想いを抱いている。でも、仕事だ。そこは割り切らなくてはならない。だが、まだ若い彼にはできない。かつて自殺した施設での友人(真下)。彼への想いと、今死刑囚にならんとしてここに拘留されている山井への想いが重なりあう。自分の中の混沌としたものがそんな2人と向き合うことで、明確なものになっていく。
終盤の山井との会話のシーンが凄い。この小説はここに至るためにそこまでの話があったのではないか、と思わせる。山井が生きる選択をするのは主人公の力ではない。だが、彼が山井と向き合ったことで、何かが変わるのだ。単なる感動のヒューマンドラマではない。もっとドロドロしたものが底には流れる。だから、あの終盤の展開が、いい。
刑務官が主人公だ。彼が死刑囚(山井)と向き合う。2人の夫婦を殺した20歳。山井は控訴しない。なぜか? 死ぬことが怖くないのか?そんなはずはない。ではなぜ?
主人公は施設で育った。この仕事に就いて、更生するために収容された犯罪者と向き合うが、それは決して楽しい仕事ではない。死刑に関しても割り切れない想いを抱いている。でも、仕事だ。そこは割り切らなくてはならない。だが、まだ若い彼にはできない。かつて自殺した施設での友人(真下)。彼への想いと、今死刑囚にならんとしてここに拘留されている山井への想いが重なりあう。自分の中の混沌としたものがそんな2人と向き合うことで、明確なものになっていく。
終盤の山井との会話のシーンが凄い。この小説はここに至るためにそこまでの話があったのではないか、と思わせる。山井が生きる選択をするのは主人公の力ではない。だが、彼が山井と向き合ったことで、何かが変わるのだ。単なる感動のヒューマンドラマではない。もっとドロドロしたものが底には流れる。だから、あの終盤の展開が、いい。