この手の新人監督の作品が次から次へと作られて公開される。幸せな時代になった。だけど簡単に消費され消えていく。これは道本咲希監督劇場用長編デビュー作品。ENBUゼミナールの製作した低予算映画だけど、志は高いから悪い映画ではない。だけど成功しているとは言い難い。大阪の芸大、写真科(大阪芸大というわけではない)の卒業生4人。主人公のナオは才能に恵まれて周りから一目置かれている。卒業後はドイツ留学する。前半は、彼女を中心にした4人の大学4年の日々。卒業間近の時間。それぞれの進路も決まり今は卒業制作を提出するために最後の大学生活を過ごしている。山田はナオと付き合っていたけど、別れることに。自分たちの才能に見切りを付けたくはないけど、身の程を知る程度にはもう大人。そんな彼らを距離を置いて描く。声高には何も語らない。ただ静かにドキュメンタリータッチで綴るだけ。
後半は4年後、さらに半年後。ベルリンからナオが帰って来て個展を開催する。久しぶりに4人が揃う河川敷のシーンで幕。それぞれ、わだかまりはある。山田は多田の結婚パーティに来ない。ナオに会いたくなかったからだ。だけど、3人に家まで押しかけられる。いかにもなラストである。
こんな感じで一応はストーリーはあるけど、それを語りたいわけではない。彼らの心情を点景として綴る。最初にも書いたが、悪い映画ではない。だけどこれだけでは物足りない。ひとりよがりスレスレの微妙さ。