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映画・演劇のレビュー

『0093 女王陛下の草刈正雄』

2008-02-18 23:13:41 | 映画
 こんなバカな企画はTVのバラエティーですらやらない。それを一応低予算の安直な作品とはいえ劇場用映画として作ってしまうなんて、バカもほどほどにしてもらいたい。作る前から、作者たち自身がそのくだらなさに気付いていたはずだ。そして、こんな映画を見に来るお客は数えるほどしかいない、ということも知っていただろう。

 なのに、酒の席か何かで戯言として誰かが思いつきで話したことが、アルコールの助けもあって、異常に盛り上がりその結果プロデューサーがGOサインを出してしまって映画化に至る。その場の雰囲気すら手に取るようにわかる映画だ。

 そんな企画を持ち込まれて、しゃれのわかるハンサムガイ、天下の草刈正雄が、乗っかってしまい、半分冗談だったのに引くに引けなくなり、その結果、本当に出来てしまった。そんな映画である。(もちろん以上の記述は僕が勝手に考えただけなので事実ではない。)

 ここまでアホな映画はきっと誰一人DVDですら、レンタルしないから(実際に駅前のツタヤでは1本もレンタルされてなかった)、僕が見てあげることにした。

 コードナンバーは0093。英国情報部日本支社に在籍するスパイ。草刈正雄。彼は女王陛下の命を受けてこの辺境の地、日本でスパイ活動を続けている。バイトで役者もしている。そんな彼に久々に使命が与えられる。(言わずと知れた007のパロディーである。)

 もちろんこれ以上この映画について粗筋なんかはいらないだろう。書くだけバカらしい。映画には、なんとアクションもないし、すべりまくりのギャグを満載して、見てる人々を凍りつかせる。監督は『おかえり』を作った篠崎誠。河崎実かと思ったのに、まさかの篠崎!

 バカを承知で玉砕覚悟の映画、というわけではない。細かいバカをくだらないまま丁寧に見せていく。本当は頭いいくせに、バカな振りしているうちに、何がバカで、何がおしゃれか、わからなくなっている。その混乱振りがいい。その結果、ひたすら単純バカな河崎映画以上にあきれた映画を作ることに成功している。バナナの皮で滑るなんていうギャグを愚直に何度も繰り返す誠実さ、あきれてものも言えない。

 こんな映画をたとえ暇でも、見ないほうがいい。時間の無駄である。でも、僕は見るけど。(というか、もう見たし)

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