この小説の描く恋愛未満のつきあいって、あまりにさりげなさすぎて、あっけない。小説自体の分量の問題ではなく、口当たりのよさもあり、一瞬で、読み終えてしまった。
20代後半のもうそこそこ大人の男女が主人公。こんなふうに友だちとして、なんとなく時々連絡を取り合ったり、そして食事したり、一緒に美術館にも行ったりする。それって一応デートかもしれない。だけれども、お互い一歩踏み出すきっかけもないまま時を過ごす。もどかしいとは思わない。こういうことって現実にもたくさんあるのだろうから。
でも、わざわざそれを小説に書こうなんて、たぶん誰もしなかったことだろう。これってどう考えても、小説向けの素材ではない。なのに、あっさりと何の拘りもなく見せてしまう。それって凄いことなのか、バカなことなのか、よくわからない。ただ、読み終わってなんとなくほんの少し気持ちがよかった。こういう人間関係って確かにあるし、彼らの事を僕は嫌いではない。
淡い人間関係をそのままに見せて、一編の小説として仕上げてしまい、何のお話もないのにこんなにも心地よい。それってもしかしたら凄いことなのかもしれない。
20代後半のもうそこそこ大人の男女が主人公。こんなふうに友だちとして、なんとなく時々連絡を取り合ったり、そして食事したり、一緒に美術館にも行ったりする。それって一応デートかもしれない。だけれども、お互い一歩踏み出すきっかけもないまま時を過ごす。もどかしいとは思わない。こういうことって現実にもたくさんあるのだろうから。
でも、わざわざそれを小説に書こうなんて、たぶん誰もしなかったことだろう。これってどう考えても、小説向けの素材ではない。なのに、あっさりと何の拘りもなく見せてしまう。それって凄いことなのか、バカなことなのか、よくわからない。ただ、読み終わってなんとなくほんの少し気持ちがよかった。こういう人間関係って確かにあるし、彼らの事を僕は嫌いではない。
淡い人間関係をそのままに見せて、一編の小説として仕上げてしまい、何のお話もないのにこんなにも心地よい。それってもしかしたら凄いことなのかもしれない。