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映画・演劇のレビュー

『プラチナデータ』

2013-03-28 10:14:39 | 映画
 かなり期待したのに、これには心からがっかりさせられた。人物配置が先日公開された傑作『脳男』とよく似ているので、いつもなら、ついつい比較したくなるのだが、これはそんな気力すら失くすほどの駄作。どうしてこんなことになったのだろうか。大友啓史監督は、先の『るろうに剣心』で、なかなか骨のある映画を作っているから、楽しみにしたのに、なんでこんなにもつまらないものになったのか。

 アクションもダメだし、それより何より、まずシナリオが悪すぎた。アイデアがまるで生かされてない。2時間以上の長尺なのに、だらだら長いばかりでお話は単調。DNAですべてがわかるという超管理体制下で、自分が犯人だと断定された男の逃亡と反撃というよくあるパターンなのだが、そんなお決まりのルーティーンすら見せれない。追う者(豊川悦司)と追われる者(二宮和也)の戦いすら緊張感のあるものにできないのだ。じゃあ、何を描くのか。2重人格である。

 大体、どうして2重人格の話なんていうつまらない展開でお話を引っ張るのだろうか。そこに話を持って行くのなら、基本設定であるDNAでの犯人特定(それがタイトルであるプラチナデータなのだが)とかは関係ないじゃないか。そこからドラマを紡いでいたのに、それでは話を引っ張れなくなったからなのか、主人公は2重人格で、もうひとつの人格が犯罪を犯していた、なんていうつまらない話となる。

 思い付きだけで書いた話を、まるで練られていない台本で安易に見せるアイドル映画。そんな悪口でも言いたくなるような、いいところがまるでない作品だった。これはショックだ。豊川悦司がとてもいい雰囲気でアナログ刑事を見せてくれているだけに、主人公である二宮の話をちゃんと作ってもらいたかった。

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