習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『大帝の剣』

2007-04-15 09:26:28 | 映画
「おもしれぇ」と阿部ちゃんが映画の中で10回以上つぶやく。面白ければそれだけでいい。堤幸彦本人もそう思ってる。ただひたすら面白いものを求めてる。ふざけてるのではなく、真剣にバカをしているのだ。とてつもなく大バカで、あほらしさ満載の映画である。

 この映画には何ひとつ意味はない。それのどこが悪い、と居直ってる。ただひたすら監督以下スタッフも、阿部ちゃん以下キャストも全力バカで1時間50分を駆け抜けていく。凄く気持ちいい。

 こんな映画が見たかった。お気楽でふざけてるのでなく、本気のバカを楽しんでいる。エンタテインメントの王道とは、お客さんを楽しませるために、まず自分たちを楽しますのだ。汗を流しながらヘラヘラ笑ってること。作り手の喜びがしっかり観客に伝わってくることで、観客もまた、にこにこして見ていられる。そんな映画って理想的だ。バカの極地を行くことの快感がここにある。

 まともな話なんてない。宇宙から善と悪の生命体が落ちてきて、そいつらが人間達の体に入り、人間たちを巻き込んでバトルを繰り広げていく。三種の神器を手にした者は世界を治めることが出来るらしい。それを巡る争い。そして、もちろんすべてを手にするのは我らが阿部ちゃんなのだ。

 2メートル近い大男が、その体と同じくらい大きい大剣をぶるんぶるん振り回して、お姫様を守り、悪者たちをなぎ倒していく。単純明快。痛快無比。娯楽大活劇。阿部ちゃん(阿部寛のことです)、長谷きょん(長谷川京子のことです)を中心にして、東映特撮人ならではの戦隊もののチープなビームとか一杯出てきて、派手な爆発だらけの、安いけどその軽さがこの映画にぴったり。

 遠藤憲一の熊男が「あらららら」を連発!全篇に渡ってチョコマカしてるクドガンともどもこの映画のペースメーカーとなっている。そして、<何をやっても竹内力>が凄いメイクで原型を留めてないのにやはり竹内力でしかないまま化け物を演じてる。黒木メイサの紅顔の美少年も凛々しい。

 ひつこいくらいの説明ナレーションも全体のリズムを作り、バカに拍車をかけてる。今日は字幕上映日だったので、日本語字幕が入ってたが、最初はこれが気になって仕方なかったが、だんだんこれすら快感に。字幕のくせに効果音まで丁寧に入っていて至れり尽くせり。「ドカーン」とか「バキューン」とか「ドドドドドドド」とか。おい、これは劇画かい、と突っ込みいれてしまう勢いだ。

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