小路幸也『東京バンドワゴン シー・ラブズ・ユー』

　連続ドラマの続きを見ているように、さらに４エピソードが語られていく。ＴＶドラマなら、このままずっと視聴率が落ちるまで続いてもいい。軽く読み流すことが出来る。とても心地よく。

　シリーズ第２弾。今回も４話構成１年の出来事。ラストでついにマードックさんと藍子が結婚式を挙げる。めでたしめでたしである。昔のドラマはいつも、こういう大団円である。予定調和が美徳だった。この小説はそんな時代へのオマージュだから、この終わり方しか考えられない。

　それにしてもこの家族には愛がある。ここに居るだけで幸せな気分にさせられる。だから、みんなこの家に集まってくる。この小説はこういう暖かい幸せな気分を僕たち読者にも与えてくれる。

　騒々しいけど、いつも家の中には誰かがいて、みんなが楽しく一つ屋根の下で暮らしている。家族がどんどんここに集まってくるのがいい。みんなここに居たいのだ。他人であるはずの人たちまでが、家族のようにここに来て寛いでいく。みんなここのメンバーになりたい。ここで一息つきたい。そんな気分にさせられる。疲れたときにはぜひ一読を！