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映画・演劇のレビュー

藤枝善之『使ってみたい映画の英語』

2007-06-23 07:39:08 | その他
 名作44本を選んでそこに描かれる名セリフを解説する本。なんでもない本だが、選考した作品が、とてもあたりまえのものばかりで、映画の入門書としても、よく出来ている。普通の人がまず見たらいい映画がセレクトされている。

 読みながら、そういえば、昔こんな映画に夢中になったなぁ、なんて中学時代を懐かしく思い出していた。50年代以前の映画なんて、定番傑作が並び、昔は誰が見ても「いい映画」って確かにあったということに改めて気が付く。それが、70年代くらいから崩れてくる。価値観の多様化がそんな事態を生んだのだろう。

 
 個人的には、60年台までの映画はTVの洋画劇場で見た映画で、子どもの頃のお茶の間とともに、懐かしい記憶が甦る。70年代からは、劇場で見ているから、自分たちの映画という意識が強い。80年代からは、こんなのが名作かい?と思うものもちらほら。そこには、著者の趣味による偏りが生じる。

 『風と共に去りぬ』『ローマの休日』『真昼の決闘』と書くだけで、胸が熱くなる。30年以上前に見て心躍らせたキング・オブ・ムービーである。そして、『猿の惑星』を大晦日の夜TVで見た時の興奮。一生忘れられない。興奮して寝れなかった。あの衝撃のラスト。『小さな恋のメロディー』は何度もTVで見た。何度見ても感動した。ダニエルとメロディーちゃんがトロッコで行くあのラストシーン。鮮やかに全ての場面が今も心に残る。

 そして極めつけは『卒業』と『明日に向かって撃て』だ。この2本はリバイバルで見た。70年代のことだ。シネマ2がまだ名画座だった頃のお話だ。2本とも忘れられないラストシーンを持っている。昔の映画はあまりに鮮やかなラストを持っていた。この本を読んでいたら、なんだか、感傷的になる。

 44本目がジャック・ブラックの『スクール・オブ・ロック』というところも泣かせる。この隠れた名作にちゃんとスポットを当てたこの著者は信用が出来る。

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