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映画・演劇のレビュー

『王妃の館』

2015-05-13 19:58:39 | 映画

『ズタボロ』の橋本一監督の作品。どれだけ売れっ子なんだ、と思うくらいの勢い。でも、今年、2月から廣木隆一は3カ月連続だったし、園子温もこれから毎月新作が公開される。2か月連続なんて、大したことないかぁ。

まぁ、そんなことはどうでもいい。これが4月25日公開で、『ズタボロ』が5月9日。新作が2か月連続公開だ。そんな2本を同じ日にまとめて見てしまったので、この日は橋本デーになった、それが言いたかっただけ。

『ズタボロ』はなかなかだったけど、こちらはかなり残念な作品になった。どちらかというと、これはTV朝日製作の大作映画なのに、このしょぼい出来にがっかりする。ここで彼ならきっとちゃんと職人に徹して楽しませてくれるのではないか、と思っていたのに。

こんなことなら同じ水谷豊主演で、いつものように『相棒』でも作っていたほうがよかったのではないか。それにしても、どうしてこんな無残な映画を作ることになったのだろうか。パリくんだりまで行ってこんなのを作ってくるなんて、なんだか同じ日本人として恥ずかしい。

しかも、ルーブル美術館を貸し切ってまで撮影したのが、あんなシーンである。お金の無駄使い。パリの観光映画として割り切ったなら、いい、と思ったが、それならこんなには見ない。BSで毎日旅行番組なら放送しているし。映画館でわざわざ見る必要はない。数年前、ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』を見たとき、パリに行きたい、と初めて思った。そして、その年の冬に初めてパリに行った。それくらいのインパクトがなくては映画にする意味がない、ということだ。だいたいこの映画を見てパリに行きたいと思うような人がひとりでもいますか? まるで魅力的ではない。(でも、風景はきれいけど)

問題はお話なのである。浅田次郎って、どんだけつまらん、小説を書いたのか。もちろん、原作を読んでないのに、そんな言い草すれば、作者は怒るだろうけど、このストーリーにはまるで可能性を感じない。上下2巻もある小説は、もしかしたら、この映画とはまるで別物で、面白いお話なのかもしれないけど、この映画を見た今は読みたくもない。

コメディ映画のはずなのに、まるで笑えない。ただただ恥ずかしい。劇中劇で日本人がフランス人を演じる。そこも恥ずかしい。こういう陳腐なことをどうしてするかな。これは確信犯なのだろうが、それならそれでそうすることでどんな仕掛けが生じたかを教えて欲しい。まるで、メリットはない。もちろん、このシーンをフランス人に演じさせても同じだろうが。噴飯もののエピソードの連鎖に、うんざりを通り越して、げんなりする。何をやりたかったのか、まるでわからない台本が元凶だろう。あれはいったい何なんだ? さすがの橋本一でも、手の施しようがなかったのか。謎だ。


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