セドリック・クラピッシュ監督の新作がやってきた。同世代のデプレシャンの新作と同時時期に公開されるなんてなんだか嬉しいので、同じ日に見てきた。同時期に一世を風靡したフランス映画の新鋭監督だったふたりが今もコンスタンスに活動を続けているのだ。ふたりは僕とも同世代で60代になる。
クラピッシュは『猫が行方不明』がたぶん最初だ。それから日本で公開された映画はすべて見ている。(デプレシャンは『そして僕は恋をする』から。2本ともほぼ同時期の作品だ。90年代後半のことである)
今回の新作は、実にシンプルな映画で、構成も単純。わかりやすく、ストレート。前半の冒頭でバレエシーンが、後半はラストにダンスシーンが延々と描かれる。すべてはその二カ所に象徴される。
怪我によりバレリーナの夢が絶たれた彼女が新しい人生を模索するお話。クラシックバレエからコンテンポラリーダンスに。試行錯誤や模索はあるが、結局は基本となる方向性は変わらない。
夢を絶たれた最初は何をすればいいんだが、わからなかった。ずっと子どもの頃からバレエだけで生きてきたから。宿泊施設の料理の補助員を引き受けて、そこで偶然やってきたコンテンポラリーダンスチームに出会えて、そこに参加して、やはり自分は踊ることしかないと再認識する。まるで違うけど同じダンスだから。
なんて単純な映画だろう。だけどそのシンプルさが心地よい。