前田耕揚が作品ごとにメンバーを集めてプロデュースする芝居の第3弾。今回は坂口修一を中心にして彼のセレクトで選ばれた精鋭による作品。キーマンは遊気舎の久保田浩。高校球児だった5人の男たちの再会を描く。
柴田隆弘による美術はなんだか懐かしい。今もある思い出の場所を具体的なのになんとも象徴的に提示する。ノスタルジックな色彩に彩られた空間で20年振りに再会する。彼らは同じカードに導かれてここにきた。同窓会を知らせるカードだ。だが、それは誰がどんな目的で出したのか、わからない。
廃校となった自分たちの母校。当時の思い出がそのまま残る野球部の部室。そこに忍び込んできた5人の男たち。誰かが彼らをここに呼びだした。疑心暗鬼のまま、でも抗えないでやってきてしまった。あの頃の悔恨が今の人生にすら影響を与えている。誰もがあの事件を忘れてはいない。それを引きずって今も生きる。あの日をもう一度当時の仲間と一緒に向き合うことで乗り越えられるのか。
ミステリ仕立てで綴られるドラマは、2つの時間を往還して彼らの今を照射する。ここで酒盛りして勢いでその事件を起きた。甲子園の夢が断たれて、抜け殻のようになって、その後の人生を生きた。忘れようにも忘れられない。
設定は悪くはない。だが、いつまでも周辺ばかりを描いてなかなか確信に入らないのが、もどかしい。しかも、ドラマは求心的にはなっていないから、なんだか肩すかしを食らった気分だ。詰めの甘い脚本(原野貴文)が元凶だろう。演出(ごまのはえ)も脚本と同じで彼らを追いつめていかない。ドラマの緩さをなぞっているだけだ。せっかくの見事な舞台美術が、まるで生かされてない。なんとも残念でならない。
柴田隆弘による美術はなんだか懐かしい。今もある思い出の場所を具体的なのになんとも象徴的に提示する。ノスタルジックな色彩に彩られた空間で20年振りに再会する。彼らは同じカードに導かれてここにきた。同窓会を知らせるカードだ。だが、それは誰がどんな目的で出したのか、わからない。
廃校となった自分たちの母校。当時の思い出がそのまま残る野球部の部室。そこに忍び込んできた5人の男たち。誰かが彼らをここに呼びだした。疑心暗鬼のまま、でも抗えないでやってきてしまった。あの頃の悔恨が今の人生にすら影響を与えている。誰もがあの事件を忘れてはいない。それを引きずって今も生きる。あの日をもう一度当時の仲間と一緒に向き合うことで乗り越えられるのか。
ミステリ仕立てで綴られるドラマは、2つの時間を往還して彼らの今を照射する。ここで酒盛りして勢いでその事件を起きた。甲子園の夢が断たれて、抜け殻のようになって、その後の人生を生きた。忘れようにも忘れられない。
設定は悪くはない。だが、いつまでも周辺ばかりを描いてなかなか確信に入らないのが、もどかしい。しかも、ドラマは求心的にはなっていないから、なんだか肩すかしを食らった気分だ。詰めの甘い脚本(原野貴文)が元凶だろう。演出(ごまのはえ)も脚本と同じで彼らを追いつめていかない。ドラマの緩さをなぞっているだけだ。せっかくの見事な舞台美術が、まるで生かされてない。なんとも残念でならない。