これって正直言って、全く「大丈夫」ではない映画じゃない?映画に乗り切れないままラストまで行ってしまった。茫然自失の状態に陥り頭を抱えた。いったい何が描きたかったのだろうか。そんなことすらわからないまま107分は無情に過ぎていく。
あの復讐3部作で僕たちを虜にしたパク・チャヌク監督最新作である。『オールド・ボーイ』の衝撃は今も鮮やかだ。あの映画も今考えれば最初は何が何だかよくわからないまま、話が進んだ。わからないけど引き込まれ、わかってしまっても、話に乗せられ、ちょっとやりすぎだけども、見せ切ってしまう快作だった。あの1本で誰もが彼の魅力に取り憑かれたはず。先行した『JSA』はオーソドックスな南北分断の悲劇を描いた秀作だったが、3部作とは別の意味で彼の才能を感じさせる作品だった。
今回初めてファンタジー系ラブストーリーなんてものに(彼が撮りそうにもない題材に)チャレンジし、思ったとおりにぶっ飛んだ作品に仕上がってしまった。そういう意味ではこれもまた彼らしいとも言える。前作の『親切なクムジャさん』も内容にそぐわないポップさが全体のバランスを崩しまくっていたが、あれがさらにエスカレートして完全空中分解してしまったような映画である。精神病院を舞台にして自分の事をサイボーグだと思う少女と盗癖のある男の子によるラブストーリー。
病気の人間同士が労わりあいそれを乗り越えていく、というヒューマンドラマとして受け止めたってかまわないだろうが、実はそんな単純さはここにはない。被害者意識すらない。自分はサイボーグなので、人間が食べるものは一切取らなくてもいい。充電したなら大丈夫だから、と電気を体に入れようとして体を傷つけるなんて行為を繰り返す少女が主人公。いつも被り物をしていて突飛な行動を平気でしてしまう男が、彼女に恋をする。彼はなんとかして彼女に食事を摂らせようと悪戦苦闘する。
とてもポップでカラフルな空間デザインのもと、この風変わりな二人の恋が描かれる。さらには彼らに輪をかけたような凄い患者たちも登場し、精神病院を舞台にしたわけのわからないバイオレンス・ミュージカル映画としてこの映画は成立している。見終わったら、なんとなくだまされたような気分になる。そこには抜けるような青空が広がる。このノーテンキな風景に愕然とさせられる。いいのか、これで!なんてね。
精神を病んだ人たちがたくさん出てきて、突飛な行動をしている。それを見せていくだけで映画は終わる。見終えてもこれが描きたかったものがなんなのか、よくはわからない。自分を傷つける少女が、なぜこんなことになってしまったのかという彼女のバックボーンも描かれない。
空中に浮かんだ少女とキスするポスターがとても素敵なだけに期待しすぎたのが悪かったのか。なんだかがっかりした。
あの復讐3部作で僕たちを虜にしたパク・チャヌク監督最新作である。『オールド・ボーイ』の衝撃は今も鮮やかだ。あの映画も今考えれば最初は何が何だかよくわからないまま、話が進んだ。わからないけど引き込まれ、わかってしまっても、話に乗せられ、ちょっとやりすぎだけども、見せ切ってしまう快作だった。あの1本で誰もが彼の魅力に取り憑かれたはず。先行した『JSA』はオーソドックスな南北分断の悲劇を描いた秀作だったが、3部作とは別の意味で彼の才能を感じさせる作品だった。
今回初めてファンタジー系ラブストーリーなんてものに(彼が撮りそうにもない題材に)チャレンジし、思ったとおりにぶっ飛んだ作品に仕上がってしまった。そういう意味ではこれもまた彼らしいとも言える。前作の『親切なクムジャさん』も内容にそぐわないポップさが全体のバランスを崩しまくっていたが、あれがさらにエスカレートして完全空中分解してしまったような映画である。精神病院を舞台にして自分の事をサイボーグだと思う少女と盗癖のある男の子によるラブストーリー。
病気の人間同士が労わりあいそれを乗り越えていく、というヒューマンドラマとして受け止めたってかまわないだろうが、実はそんな単純さはここにはない。被害者意識すらない。自分はサイボーグなので、人間が食べるものは一切取らなくてもいい。充電したなら大丈夫だから、と電気を体に入れようとして体を傷つけるなんて行為を繰り返す少女が主人公。いつも被り物をしていて突飛な行動を平気でしてしまう男が、彼女に恋をする。彼はなんとかして彼女に食事を摂らせようと悪戦苦闘する。
とてもポップでカラフルな空間デザインのもと、この風変わりな二人の恋が描かれる。さらには彼らに輪をかけたような凄い患者たちも登場し、精神病院を舞台にしたわけのわからないバイオレンス・ミュージカル映画としてこの映画は成立している。見終わったら、なんとなくだまされたような気分になる。そこには抜けるような青空が広がる。このノーテンキな風景に愕然とさせられる。いいのか、これで!なんてね。
精神を病んだ人たちがたくさん出てきて、突飛な行動をしている。それを見せていくだけで映画は終わる。見終えてもこれが描きたかったものがなんなのか、よくはわからない。自分を傷つける少女が、なぜこんなことになってしまったのかという彼女のバックボーンも描かれない。
空中に浮かんだ少女とキスするポスターがとても素敵なだけに期待しすぎたのが悪かったのか。なんだかがっかりした。