ふたりの作家による往復書簡である。昔からこういうパターンの本はたくさんあったけど、今回のこの本のような徹底したケースは初めてではないか。ふたりはこれまで気にはなっていたがお互い面識もなく、だけどお互いをリスペクトしていた。そして、初めましてから始まる。
手紙というスタイルで、話合う内容はかなり突っ込んだことを歯に衣着せぬ真摯なことばで語り合う。子どもたちのことや生き方について。アメリカとイタリアという異国で暮らすふたりは外から日本を見て感じたことを問い合う。ストレートな問いかけに誠実に答えていく。本質的な問題にどんどん切り込む。さまざまなことを扱い素朴な問いかけをする。
大好きなふたりの作家の創作の秘密を垣間見ることが出来たこともうれしい。貴重なプライベートのお話を折り込みながら、ふたりが何をどう取り上げ、作品として提示していくのか、までもが語られていく。さらにはお互いの本に対する感想を短評として書くコーナーや編集者からのふたりへの質問コーナーまで用意されている。忌憚のない意見を相互に述べる。誠実な本音が綴られる。児童書という共通の土壌から語り尽くせないさまざまな想いが質疑応答というスタイルで描かれていく。まるで夢のような本だった。