この夏のアニメーション映画攻勢は凄まじい。大ヒット作『天気の子』を筆頭にして『トイストーリー4』やら、なんやら、邦画も洋画もアニメだらけ。そんな中にこの1作も紛れ込んでいる。でも、これは夏休みにもずっと上映していたけど、(それに今もしているけど)実は5月下旬からロングランにしているのだ。驚きである。
中島かずき原作、脚本のだから劇団☆新感線ノリの映画で、こんな活劇もありなのか、とアニメの裾野の広さを実感した。マニアを中心にして根強い興行を展開している。この夏、台北に行ったとき、たまたま現地でもこれが上映されていて、こんな映画までもが、日本とほぼ同時公開されているのか、と驚いた。
今は本編の前日譚である短編2本が同時公開されていて、なんとなくお得感もあり、たまたま見たのだが、昔懐かしい漫画映画で、その粗っぽい作りも含めて、楽しめた。原色の派手派手しい絵作りもこの映画にはぴったりだ。お話自体は、単純ではあるけど、なかなかシビアな話で、少数民族への迫害とか、強者の論理が押し出されていく図式とか、パターンだけど、興味深い。今現在の香港と中国の関係だってこの映画の図式と同じだし。
映画はシリアスにではなく、豪快な活劇として、そんなこんなが盛り込まれる。テロ組織として追われる側と、その取り締まりをする政府側、その中間に立つのが主人公たちの火消しグループだ。構造の単純さが作品のテーマをきちんと伝えるのがいい。アニメ映画の懐は深い。