『ルリエール』の作家の新作。シリーズの第2作ということだが、前作『花咲家の人々』は読んでいない。というか、彼女の作品はこれが2作目。たまたま新刊(文庫オリジナル)として並んでいたから、手に取った。軽い本(内容も、重量も)を読みたかったから読んだ。
こういうファンタジーは実は苦手だ。前回『ルリエール』を読んだ時も、かなりつらいなぁ、と思った。でも、ギリギリでリアルの地平のお話としても読めたからOKだった。それだけに今回もきっと大丈夫に違いないと、安心しながら、でも、ちょっと不安になりつつ、読む。
5話からなる短編連作だ。花咲家の家族がそれぞれのエピソードの主人公になる。父親、と3人の子供たち。祖父。この5人のエピソードにプロローグが付く計6話。この家の人たちは花や草(要するに、植物ね)と話すことができる。彼らの声を聞き届けれるし、彼らと行動をともにできる。ちょっとした魔法使いなのだ。だが、その能力を使って、どうこうしようというのではない。ひっそりと、ふつうに生きているだけ。ここにはそれ以外の特別なことは何にもない。描かれることはそんな彼らの日常のスケッチだ。でも、その能力によって助けられることもある。あるいは、誰かを助けることもある。でも、そこに描かれることは、そんな大げさなことではない。
そのへんのバランス感覚がこの作品の命綱なのだ。そういう意味では『ルリエール』も同じパターンだった。だが、こっちは描き方が、ちょっと甘いなぁ。だから、読んでいて、少しつまらない。これではただのファンタジーになる。この家族の関係性をもっと描きこんでくれたなら、家族のお話としても楽しめたはず。小路幸也の『東京バンドワゴン』のようになればいいのに、と少し残念。
こういうファンタジーは実は苦手だ。前回『ルリエール』を読んだ時も、かなりつらいなぁ、と思った。でも、ギリギリでリアルの地平のお話としても読めたからOKだった。それだけに今回もきっと大丈夫に違いないと、安心しながら、でも、ちょっと不安になりつつ、読む。
5話からなる短編連作だ。花咲家の家族がそれぞれのエピソードの主人公になる。父親、と3人の子供たち。祖父。この5人のエピソードにプロローグが付く計6話。この家の人たちは花や草(要するに、植物ね)と話すことができる。彼らの声を聞き届けれるし、彼らと行動をともにできる。ちょっとした魔法使いなのだ。だが、その能力を使って、どうこうしようというのではない。ひっそりと、ふつうに生きているだけ。ここにはそれ以外の特別なことは何にもない。描かれることはそんな彼らの日常のスケッチだ。でも、その能力によって助けられることもある。あるいは、誰かを助けることもある。でも、そこに描かれることは、そんな大げさなことではない。
そのへんのバランス感覚がこの作品の命綱なのだ。そういう意味では『ルリエール』も同じパターンだった。だが、こっちは描き方が、ちょっと甘いなぁ。だから、読んでいて、少しつまらない。これではただのファンタジーになる。この家族の関係性をもっと描きこんでくれたなら、家族のお話としても楽しめたはず。小路幸也の『東京バンドワゴン』のようになればいいのに、と少し残念。