こんなバカな企画を通した角川映画に驚く。イベント映画の域を出ないのは、このシリーズの特徴だが、それにしてもこれは酷い。3D映画でお化け映画をしたいという想いから生まれた『貞子3D』。その続編である『貞子3D 2』。貞子と3Dが同列に扱われるあの2作品は映画ではなくもうアトラクションだった。本作もその流れを汲む。
ここにはJホラーの草分けであり最高傑作でもある中田秀夫監督『リング』へのオマージュなんかどこにもない。さらには、今回もうひとつの傑作、清水崇監督『呪怨』をそこにぶつけた。2本のホラー映画の究極の作品からそのヒロインだけを連れてきて、映画にした。こんなものが、いい映画になるはずもない。監督は白石晃士。その選択は悪くない。新しい血を注ぎ込むことで以前の作品を払拭して、新しい可能性を提示するか、と期待した。
だが、そうはならなかった。まるで新鮮味に欠ける映画。貞子が抱えるものも、伽耶子が描こうとした恐怖もまるでここにはない。ただ、有名なキャラクターによるバトルだけが残されたただの形骸化したアトラクションムービー。「ばけものにはばけものをぶつけるんだ!」という安藤政信の霊媒師の安直な発想には笑えるけど、それは予告編でもう散々見た。それでどうなるか、そこを映画館では見せてもらいたかったのだが、それが貞子と伽耶子の合体した新キャラクター「貞・伽耶子」の誕生だなんていう冗談を僕は楽しめない。
ここにはまともなお話はない。MX4Dのアトラクション映画にお話なんか期待することがヤボ、と言われればそれまでなのだが、それにしても若い女の子たちがキャー、キャー騒ぐだけのうるさい映画を見たいわけではなかった。絶対続編を意識したラストなのだが、そんな続編を見たいと思う人がいるのだろうか。うんざりだ。