2014年に上演した作品を4年ぶりに再演した作品。前回は見ていないので、今回初めて接したのだがこれは衝撃的な秀作。3人の女の子たちの痛みと向き合う。彼女たちがウリをしながら、何を手にしたのか。ファンタジーのようなお話の展開の中から悪夢のようなお話が顔を出す。いつもの場所に突然現れた建物の中に導かれた彼女たちはそこで何を見つめることになるのか。
ここにあるのは、これまでの自分の痛みと向き合い、そこから明日向かう糧を得る、という単純な図式なのに、それだけでは収まりきらないものがある。女子高生だった時間はもう過ぎたにもかかわらず、まだ制服を着続ける。「女子高生」というブランドに縋りつき、男たちからお金を引き出す。でも、そんなことを続けるのにも限度がある。どこかで終わりを打たねばならないことなんか、わかっているけど、それが出来ず、いつまでもここにいる。そんな痛ましい少女たちの物語。
自分のトラウマと向き合い、そこから離脱していくまでの地獄めぐり。顔をペイントした女子高生たちに紛れて、素顔のままそこに立つ偽女子高生である3人の冒険。何かを叶えるためではなく、何かを忘れるためでもなく、今、この瞬間を面白おかしく生きたならいい、という偽りの時間から新しいステージに向かう瞬間を2時間の芝居として構築した。作、演出の中川浩三は、シビアに彼女たちの姿を捉える。ファンタジーという構造の中にリアリズムの想いを封じ込めることで、現実と向き合う硬度を獲得した。