この冬一番大作映画で、唯一お正月映画らしい作品を見た。今年の12月公開の映画で、この映画以外に「お正月映画」だと思わせる作品はない。今の時代、お正月映画という概念がなくなってしまったのか、と改めて思わされる。いろんなものへの価値観が変貌していく。世の中がどんどんつまらなくなる。みんなが楽しめるイベントがなくなり、マニアのためのものだけが、突出する。わかる人だけわかればいい、そんなふうな時代になっている。価値観の多様化なんていって好意的に捉えることは簡単だけど、なんだか、少し寂しい。共有するものがなくなってくれば、人はどうなっていくのだろうか、なんて、そんなどうでもいいことを考えながら、この映画を見始めた。
前作は実に面白かった。暗いタッチになった『ハリー・ポッター』シリーズの終盤(でも、映画としては実に見応えがあった!)から一転して、楽しい娯楽活劇に戻っていた。だが、今回、また、なんだか重苦しいタッチになってきている。動物たちもあまり活躍しないし。しかも、お話がまるで進まない。同じところで、停滞したまま、2時間14分。ビジュアル面では華やかで驚きの連続だから退屈はしないけど、でも途中眠くなって、何度か少しうとうとさせられた。
悪役のジョニー・デップが強烈な印象を残すし、ダンブルドア先生のジュード・ロウもとてもいいから、彼ら二人の登場で映画は大きく広がった印象を与えるけど、その反面主人公であるニュート役のエディ・レッドメインが霞んでしまう。ニューヨークからパリへと舞台を移して、おなじみのメンバーたちによる冒険が描かれる。確かに安心して見ていられるけど、映画としての驚きはない。
それと、これが連続ドラマの第2章なので、映画は途中から始まり、途中で終わる。この手の大河ドラマの定石だけどなんかそれって見ていてすっきりしない。