イスラエル映画なんて珍しい。なかなか日本では公開されないからだ。珍しいからというわけではないけど、ついつい珍しいなと思い、これは特別な作品だから公開するのだろう、きっとかなり凄い映画だと勝手に過大な期待を抱いて見てしまった。だからかもしれないけど、思った以上に普通の映画でがっかりした。映画comの解説には「イスラエル・アカデミー賞で8部門にノミネートされ、父親役のドブ・グリックマンが助演男優賞を受賞した」とあるが、大衆受けするよくあるヒューマン映画。まぁ悪くはないとは思うけど、わざわざ見るまでもない。
離婚して母親と暮らしてきた発達障害のある息子(38歳の中年男)。母の死後ひとりになった彼を施設が見つかるまで、という条件で施設の空きができるまでの数ヶ月彼を受け入れて一緒に暮らすことになった年老いた父親。ふたりは30年ぶりの再会だ。反発し合いながら、次第に歩み寄るふたり。だけど、父もまた病いに侵されていて…
よくある甘いお涙頂戴のドラマを見せられた、って感じであまり感心しなかった。このお話でもいいけど、そこにもう少し「何か」が欲しい。ありきたりの「感動もの」で、拍子抜けした。とって付けたようにラスト近くで靴ひもを結べるようになった場面が描かれる。(もちろん映画の前半には、一人では結べないというシーンがありそこと呼応する)父親の死後、ひとりぼっちになった彼は再び施設に戻っていくが、そこで恋人ができてめでたしめでたし。