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こういう歴史大作を今なお作り続けることができるリドリー・スコットは凄い。これは凄まじいスケールの超大作である。これを作るのに,どれだけのお金と時間がかかったことか。もちろんこの映画を作り上げるための情熱と気力、老齢に達してもリドリー・スコットは全く衰えない。これだけのものを2時間38分に投入した。まさかの映画である。
この1本を見るだけでクタクタになる。今回は轟音上映の劇場で見た。アイマックス(600円追加)はもう飽きたし、ドルビーアトモスは200円のムダ。大作映画を大スクリーンと大音響で見るのは正しいかもしれないけど、映画はアトラクションではないから、落ち着いてちゃんと見るのが一番だなと改めて思った。
映画はこれでもか、とばかりの壮大なスケールの戦争シーンがオンパレード。さすがにここまでされたら反対に単調に思えてくる始末。今回の映画はお話があまり面白くない。ナポレオンという男は英雄なのか、独裁者なのか、殺人鬼なのか。だが、これは彼の内面に迫る映画ではない。戦闘シーンの連鎖で綴るスペクタクル映画だ。妻と確執が基調低音としてあるけど、そこも中途半端だし、いらない。冒頭のフランス革命のシーンからラストの死まで。描くべきことは多々あったはず。ホアキン・フェニックスは終始陰鬱な表情でナポレオンを演じた。
先日の北野武監督『首』も(スケールもレベルも劣るけど)同じパターン。なんだか虚しい。秀吉やナポレオン本人を描くことより歴史絵巻に終始する。黒澤の晩年作品『乱』はさすがにそこまでは酷くはないけれどもそうだった。何か勘違いしている。今回リドリーですらこんな映画になっているのを目撃して、ショックを受けた。初の「轟音上映」は戦場シーンでの大砲シーンの迫力では効果的でよかったけど、それもまた些末な話だ。