習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『疾風ロンド』

2016-12-18 02:11:27 | 映画
この映画の原作小説を読んだとき、最悪だ、と思った。東野圭吾の数ある作品の中でも、最低ランクに位置する出来だ、と思った。悪夢のようなつまらなさ。最初から文庫で出るのも、さもありなん、というトホホ作品で、出来損ない、としか、言いようがない。だから、読んだことも忘れようと思った。



それから、数年。あの悪夢再び。なんと東映がこの小説を映画化する、と知った。何度となく予告編も映画館で見せられた。阿部寛が主演で、『サラリーマンNEO』の吉田照幸が監督をする。だが、一瞬、「もしかしたら、こいつらは確信犯ではないか、」と期待した。宣材にはキャッチフレーズである「衝撃の傑作」の「衝」の字がバッテンして「笑」に変えられているし。このトホホな原作をその緩さや、あほらしさを逆手に取って、見せるという荒業に挑戦するのか、なんていう期待が生じたのだ。そうなると、これはまさかの「笑える映画の出現か!」という気にさせられる。で、見てしまった。



怖いもの見たさで、ついつい劇場に足を運んでしまったのだ。(まぁ99%、わかっていたけどね)で、始まってしばらくして、だめだな、と思う。思った通りの駄作。だって、原作通りのお話なのだ。面白くなるはずもない。この映画の企画者は、このお話にどんな可能性を感じたのだろうか。お話を逆手に取っていろんなものをそこに仕掛ける。そうすることで、ばかばかしさが作品の力になる。そういうものを期待したし、そういうねらいだったはず。なのに、お話に引きずられて、余白が生きない。



だいたいこんなばかばかしいお話を、マジで見せられて、楽しめる人がいるとは思えない。だから、バカを承知で大真面目にそれをしたときに生じる不思議な世界がここに現出する、なんていう甘い期待をしたのだ。



でも、僕がバカだった。(ここまで書いていて、内容には一切触れず、しかも、ちょっと酷く書き過ぎた、とはわかっているけど止まらない。だから最後まで続ける。あと40字くらい、ね)



ダメなものはダメ、という当たり前の事態に直面して、109分間の苦行を強いられる。地獄だ。
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