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映画・演劇のレビュー

三田誠広『永遠の放課後』

2007-10-03 00:19:47 | その他
 久々に三田誠広を読んだ。『僕って何?』でデビューした頃は時代の旗手だった。そして、『いちご同盟』は青春小説のひとつの金字塔だろう。鹿島勤監督の同名映画も素敵だった、なんて懐かしく思い出すくらいに、いつの間にか彼の小説から遠ざかっていた。

 これは中高生向けのジュブナイルだが、彼の優しさがしっかり伝わってくる作品だった。

 正統派のラブストーリーであり、永遠に続く放課後にいつかピリオドを打たなくてはならない日が来ること、その時どれだけ爽やかに旅立つことが出来るのかを描いた夢のようなお話だ。人生は綺麗事ではない。しかし、こんな風にきちんと人生の局面を乗り越えられたならいい。彼なりの理想論がここには語られてある。

 中学の時、転校してきて、そこでひとりの少女と出逢う。そして、彼女の幼なじみの少年とも出会う。3人は音楽を通して友情で結ばれていく。だが、高校に入り別々になり、さらには大学生となった時、彼らは人生の岐路に立たされる。その時、どういう決断をするのか。それぞれの想いが交錯する。そこに彼を巡る大人たちの想いも重なり合い、幸福なラストシーンに向かっていく。

 ぜひ、これから大人になっていく子供たちに読んでもらいたい作品だ。大人にとっては大した作品ではないが、子供たちには、大事な事を教えてくれる作品だと思う。

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