この内容で2時間5分はさすがに長い。だけれども、仕掛けたお話をきちんとすべて収めるところに収めるためにはこれだけの尺が必要だったのかもしれない。シチュエーションコメディだけど、リアルは全く求めない。荒唐無稽を貫く。バカバカしくて楽しい芝居を目指した。生真面目に。そういう不器用なところがこの集団らしい。
お話自体はとてもたわいない。そんな芝居だ。だから本来ならもっとテンポよくスマートに作って100分以内に収めるべきものなのに、彼女たちは敢えてそうはしない。堂々と開き直っている気がする。作、演出は松永泰明。初めて邂逅を手掛ける。劇団は彼を信じてこの公演を委ねたのだろう。だから自由にやっている。それがいい。
病院の手術室前の待合を舞台にしてのドタバタ騒動。事故で手術中のお父さん(名前がキヨシ)を見守る妻と娘、母親もいる。そして、なぜかサンタのコスチュームで座敷童のように無言でずっとそこにいる女。隣の家の女性もいる。さらにはそこになぞの中国人編集者、とか、やりたい放題。彼らが巻き起こすドタバタ騒ぎはオチも含めて実にたわいないのだ。
でも、それが嫌味にならないのは邂逅らしい、ということか。ふつうならここまでやりすぎると、冷めてしまってしらけるところだが、役者たちが一生懸命バカを貫くので、ついつい見入ってしまうし、嫌じゃない。なんだか暖かい気分でラストまで見守ることができるのだ。ということで、これは「クリスマス公演」にふさわしいチャーミングなハートウォーミングに仕上がっている。