吉田恵輔監督によるボクシング映画。渾身の力作。見ていてその痛ましさに切なくなる。主人公は試合に出ても勝てないプロボクサー。たぶんもう30歳くらいになるのではないか。松山ケンイチが演じているのだけれども、幼なじみが木村文乃で、後輩ボクサーが東出昌大。この3人の物語。松山は木村のことが好きなのだけど、(彼女もじゅうぶんにその気持ちを知っている)言葉にはしないし、できない。だって彼女は東出と付き合ってい . . . 本文を読む
有名アパレルメーカーに勤める理世(29歳)。初めて自分の企画で新ブランドを立ち上げることになる。長年の夢がかなう。無名のデザイナー美名(31歳)を見出し、メインデザイナーとしてスカウトする。彼女にとっても人生最大のチャンスだ。この二人の友情物語だ、と思い読み始めるのだが、そういう単純なお話ではない。彼女たちの友情はやがて壊れていく。わざわざ年齢を先に書いてのもこのお話の微妙さがそこからも伝わるだろ . . . 本文を読む
このへんてこな映画を見ながら、あざといな、とか思いながらも、でも嫌いではなかった。凄いとは思わない。こんなの趣味の映画ではないか、と思わないでもない。突っ込みどころは満載だし、商業映画として成り立つわけもない。だけど、好きな人にはたまらないだろうし、何も考えずにたまたまこんな映画を見てしまったら、もしかしたらトラウマになるかもしれない。それくらい常識を逸している。
2週間くらい前に見た。その後諸 . . . 本文を読む
2時間22分の長尺映画である。ドキドキしながら一気に見た。部屋を暗くして劇場仕様に近づけ、集中した。だって待ちに待った廣木隆一監督の最新作なのだ。ほんとに出来たてほやほやの作品が公開初日に自宅で見ることができるって凄いことだ。Netflixのお陰である。配信初日さっそく見た。ほんとうなら劇場で見たかったけど、まだ、劇所公開は未定で待ちきれない。というか、新作映画が劇場ではなく自宅で先行公開されると . . . 本文を読む
なんとも不気味な映画で、劇場で最初に予告編を見た時から気になっていた。デビット・リンチの『イレイザーヘッド』のような映画に出会えるのではないか、という興奮。そこで、公開してすぐに見てきた。見終えた瞬間、これで終わりなの、って気分になった。なんだか騙された気がした。
最初は予告編通りで、この不条理劇に付き合い、どこに連れていかれるのか、とワクワクしていたのだけれど、途中からテンポが悪くなり、明らか . . . 本文を読む
このなんだかわけのわからない映画がなんだかとても面白い。くだらない、と一蹴することも可能だ。面白いと書いたくせに、どこが面白いのか、と突っ込まれたならうまく答えられない。一貫したお話はない。短編連作でもない。長編作品としては整合性がない。いや、ちゃんとつながってるけど、僕が理解していないだけ、かもしれない。短いエピソードの積み重ねで、オチはない、ようなあるような。なんともまぁ微妙。誰が主人公か、と . . . 本文を読む
いつもと変わらない芝居を見ることができる、という当たり前のことがこんなにも幸せなことだったんだ、という事を改めて実感させられた。今回もいつも通りの超人予備校である。実にたわいなく、それが実に愛おしい。見ながらなんだかとても安心させられた。
今回、コロナ禍で考えたことをテーマにして作品作りをした、とミツルギさんがパンフに書かれていたけど、(厳密にいうと、「コロナ禍の中で見つけたものを集めてみました . . . 本文を読む
1年4か月ぶりの公演になるということだ。確かにそうだ。もうそれだけの歳月が流れている。コロナ禍で演劇の公演は大打撃を受けている。なんとかして公演を打てるようにどの劇団も最善の努力をしている。(もちろんそんなことは劇団だけの話ではないけど)そんな紆余曲折を乗り越えて、往来がようやく上演にこぎつけた、そのことを素直に喜びたい。
満を持して取り上げたテキストはオリジナルではなく、なんとシェイクスピアで . . . 本文を読む
イスラエルの巨匠(らしい)ニル・ベルグマン監督の新作。東京国際映画祭で2度のグランプリを受賞した唯一の監督(らしい)で、でもこの映画が今回日本では初の劇場公開作品となる(らしい)。(どうして日本では自国を代表する映画祭で評価した映画すら劇場公開できないのだろうか。情けない話だ。)
なんだか『らしい』ばかりの羅列になったが、たまたま時間が嵌ったから見ることにした。事前情報はほとんどない。実は『ノマ . . . 本文を読む
ドキュメンタリータッチで淡々と描かれるノマドになった女性の毎日。同じように生活する人たちとの交流。キャンピングカーでの暮らし。アメリカの美しいけど寂しい風景の中で彼女たちがどんなふうに過ごして、何を考え何を感じるのかが、さらりとしたタッチで描かれていく。物語としてドラマチックに描かれるわけではない。たったひとりで定職は持たず、季節労働のようなことをこなして流されていく。仕事もなく過ごす日々もある。 . . . 本文を読む
実は3月、20冊以上本を読んでいる。毎日、1冊以上のペースで読み続けたことになる。しかも、いずれも面白い本ばかりでここに簡単な感想を書きたいのだけど、どこから手を付けたらいいかわからないまま、まるで書いていない。それは映画も同じだ。アマゾンやネットフリックスで20本くらい見ているのだけど、一切書いていない。なんだかもったいない。
さて、今読んでいるのはこの本だ。昨日の夜から読み始めた。久々の吉田 . . . 本文を読む
コロナ禍で公開が延期されていた映画だがようやく上映が始まった。吉田大八監督の手掛けるオールスターキャストが集結する大作映画。実に面白い作品でスクリーンに釘付けされる。出版業界を舞台にして多彩な人物が織りなす騙し合いのドラマだが、主人公の2人に焦点が絞られているから見やすい。
視点は松岡茉優演じる若手編集者。彼女が大手出版社に就職し、大好きな小説の編集者になり夢を実現したにも関わらず、社長の死を通 . . . 本文を読む