2022年、ベルリンで過ごす日々を綴る日記風私小説。鷗外生誕160周年、没後100年の年だった。
最初はまずベルリンに行くまでの時間。熊本で暮らしていた日々から書き起こす。鷗外が4年間を過ごしたベルリンで伊藤比呂美は3ヶ月を過ごした。
ベルリンは森だった。6月のベルリン。8月3日の5時、森の中に入る。森の人とその夫に導かれて。翌日未明、不発弾が爆発して森が炎上し . . . 本文を読む
シリーズ第3作。小路幸也だからこの先もコンスタントに続編が書かれていくのだろう。読みやすいし、楽しい。(もちろん読んだ先から忘れてしまうけど)
今回も10篇。冒頭の売れない小説家と話を作れない漫画家の恋愛話からラストまで、一気に読めてしまうけど、たぶん通勤電車の中で毎日1篇ずつ読むのが理想。今片道20分乗っているから、ちょうどいい。往復でゆっくり2篇。気持ちよく5日で読める。
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まさかの『線は、僕を描く』の続編である。あれは素晴らしい小説だった。それだけに続編は心配だ。しかも今回は映画『ちはやふる』の小泉徳宏監督による映画化作品を経ての続編となる。だからなんとなく映画のイメージが払拭出来ず、最初は戸惑う。もちろん映画は悪くない出来だったが、あまりに原作が素晴らしすぎて残念な作品だった。だから別物だと思って見たらいいけど、それは難しい。読んでいたらあの映画のキャストが目に浮 . . . 本文を読む
町田そのこが本屋大賞を受賞した作品で彼女の代表作のひとつ。まさかの映画化である。こんな暗い話をきっと観客は望まない。これはなかなかメジャーな商業映画にはなりにくい作品ではないか。それを『八日目の蝉』や数々の名作を世に送り出している成島出が監督した。彼がこの暗いばかりの救いがない小説をどう作り上げるのか。もちろん安易な映画には作れない微妙な問題を扱う。それをある種のエンタメにもしないといけない。さら . . . 本文を読む
『キングスマン』のマシュー・ヴォーン監督が手掛けたスパイアクション映画。これも2時間19分とかなりの長さ。最近のアクション映画大作は『ミッション・インポッシッブル』を始め長い映画が多い。今回の映画も盛りだくさんで最後はお腹いっぱいになり、気分が悪くなるくらい。なんでもほどほどにしないとサービス過剰は失敗につながる。冒頭のカーチェイスはあり得ないくらいの凄さで笑った。うそでしょという展開はアニメ映画 . . . 本文を読む
こんな無茶苦茶な映画がある。たった91分の長さの中に盛りだくさん。お腹一杯になるムダなし。無口どころか主人公にはセリフはない。(ラストまで)ただひたすら戦い続ける。それも不屈の勢いでひとりひとり実に丁寧に殺していく。えげつないシーンの連続だ。びっくりするような残酷な描写を笑うしかないような勢いで見せる。こんな映画はめったにない。『ランボー』も真っ青だ。何があっても諦めない。タイトル通り死なない。普 . . . 本文を読む
1学年1000人を越える私学のマンモス高校に入った真一。そしてクラスメイトの遥香に誘われてわけのわからない部活、サバイ部に入った。そこで7年振りにアキラと再会した。
アキラは記憶を失くしていて真一を知らない。小学3年生の頃、アキラと出会った。体の弱い真一はひとりぼっちだった。放課後の公園、鉄棒の前。アキラは逆上がりを教えてくれた。
中村航が放つ学園サバイバルシリ . . . 本文を読む
2010年の作品。『小さいおうち』で直木賞を受賞後の第1作となる長編。21歳の女子大生と7歳の少年が小さな町で出会い、ともに暮らす。途中さまざまな短編が挟まる。メインのふたりの話もだんだん不思議な感触になる。暴力的な男から逃れてきた瑛とひとりぼっちのニノ。このふたりはまるで『52ヘルツのクジラたち』のキナコとムシのふたりみたいだ。ただお話があまりに暗いし、テンポもよくないから、読んでいてしんどかっ . . . 本文を読む
なんだか調子のいい男の話だが。だけど彼に引っ張られて、まさかの奇跡が生まれた。ワシントンに25万人もの人たちが集まって差別を撤廃させる第1歩を踏み出す。これは1963年のワシントンで起きた行進を描く感動のドラマだ。
今年のアカデミー賞にノミネートされている地味で小さな映画である。最初は見ていても何を描いている映画なのかさえもよくわからないくらいの地味さ。そんな地味な作品はNetf . . . 本文を読む
まさかこう来るとは思わなかったから、その意外性に軽く驚く。この組み合わせが新鮮だった。お菓子職人の話。だけど冒頭から彼女は店をたたむ。近所にライバル店が出来て経営難に追い込まれたからだ。開店から5年で夢が潰えた。そんな彼女のところに料理研究家という老女(マダム)がやって来て、厨房を貸して欲しいという。そこでなんと料理教室を開講するようだ。しかも生徒は毎回ひとりだけ。さらには彼女にアシスタントをして . . . 本文を読む