ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

賽は投げられた

2007年12月19日 | ワインの話

Photo クアトロウはこの日のために、ワインのティステイングの方法をマスターしてきた。いざ実践の時を迎えたのである。
料理に合わせて白ワインと赤ワインと飲むことを告げたクアトロウは、ソムリエのアドバイスを快く受け入れ、飲むワインはすんなりと決まった。こちらの予算を予測したらしいソムリエが勧めて来たワインは的確であった。人の財布の中を覗くのは、スリより早いと云われるソムリエの職業だ。すでに、こちらの予算は計算されているのかもしれない。
さて、ティステイングの儀式が始まった。
「ワインはこちらでよろしかったでしょうか」
注文したワインの名前を書いてあるらしいが良く読み取れない。
ここは、鷹揚に「はい、結構です」と答える。
おもむろに抜栓を始めるソムリエ。素早い仕草で栓を抜き、どうだ上手いだろうとばかりに得意げに開けた栓をクアトロウの前に置くソムリエ。
「お味見をお願いします」きたぞ、きたぞ。
そう、この場面をかっこよく成し遂げたいのだ。
少しだけ注がれたワインに、これしか注がないのという顔をしてはならない。慌てて、口に入れてもならない。ここが見せ場なのだ。
クアトロウは、グラスをかたむけ色を見る。次にグラスに鼻を入れる。日本人の鼻はこのグラスには合わないと思っても我慢する。そして、香りを嗅ぐ。
まだ、飲まない。
ソムリエは直立不動でワインを持って待っている。テーブルの客人がいらいらしようが、かまわない。どうせ後で請求書は自分のところに来るのだ。
次は、グラスを少し揺する。ここでこぼしたりすると台無しになる。事前に練習を積んできている。そして、もう一度香りを嗅ぎ、やおら口の中にワインを含み、味わう。
味わったような顔をする。
そして、肝心な冷え具合をチェックするのだ。
実に満足なワインである。下手な感想は述べすぎず、「結構ですね」程度にしておく。
--つづく--

※写真と本文に関連はありません。登場人物、物語はフィクションであります。読者にワインのテイスティングという儀式に興味を持って貰うためのものであります。

※来る21日の午後6時よりの営業は貸し切りのため一般の営業を休ませていただきます。

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