クアトロの父に勧められるがままに、チーズを注文する。
チーズに好みのものとか、苦手なものとかがあるかと聞かれる。
成人になった記念にチーズを味わえる大人になりたいと思って注文した。
チーズ初心者に好き嫌いも無いもので、特に好き嫌いはありませんと答えておく。
斜め45度に立っていたクアトロの父の老眼鏡の向こう側の目がキラリと光る。
やがて、美味しそうなチーズの取り合わせが運ばれてくる。
そして、チーズの説明が始まる。
左手に見えますのが自然の青カビで作る希少なチーズで、右手に行きますととてもミルキーなウォッシュタイプのチーズで、次がこだわりのシェーブル・山羊のチーズは食べ頃でして、次はケーキのように美味しいパパイヤをあしらったブリヤサヴァランでして、最後のドライのチェリートマトはお口直しなのですと、観光バスのような説明が始まる。
この時だけは雄弁なクアトロの父のチーズの説明だが、その内容はよく解らなかった。
しかし、どれも今まで体験したことの無い美食の世界だった。
一つ一つが、大人の味だ。
うっとりとしていると、クアトロの父が笑みを貯めて、どうだったと得意そうな顔をしている。
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