○アンリ・メルケル(Vn)マドレーヌ・マルチェリ=ヘルソン(Vc)エレーヌ・ツーフルー=エンロック(P)(gramophone)1931/3/12・SP
読みが違ってたらすいません。フォーレのカルテットで知られた組み合わせのトリオである。メルケルはラヴェルと同時代のヴァイオリニストとして知られ、パリ音楽院管弦楽団をはじめとするオケのトッププレイヤーとしても著名だが、意外と実直で折り目正しい演奏ぶりが、極めて美しいタッチを披露するピアニストと対照的である。この時代仕方ないかもしれないが盛り上がると各々が主張してアンサンブルに軋みが生じたり、反じて堅くなってしまったり、一楽章終盤から三楽章までは、ああこの時代ぽい「録音」だな、と思ったが、聞き物は四楽章にあった。それまでラヴェルらしい繊細で精密な演奏を提示してきたピアノが、リスト風の大見得をきり、メルケルらもまた大きくテンポを揺らしてロマンティックなダイナミズムを発揮、しかし、結果としてズレない!見事な名人芸だ。メルケルの音色は清朗ではあるものの今の耳からすればやはり懐かしいものがあり、それが活きているのもこの四楽章である。なかなかよかった。○。
読みが違ってたらすいません。フォーレのカルテットで知られた組み合わせのトリオである。メルケルはラヴェルと同時代のヴァイオリニストとして知られ、パリ音楽院管弦楽団をはじめとするオケのトッププレイヤーとしても著名だが、意外と実直で折り目正しい演奏ぶりが、極めて美しいタッチを披露するピアニストと対照的である。この時代仕方ないかもしれないが盛り上がると各々が主張してアンサンブルに軋みが生じたり、反じて堅くなってしまったり、一楽章終盤から三楽章までは、ああこの時代ぽい「録音」だな、と思ったが、聞き物は四楽章にあった。それまでラヴェルらしい繊細で精密な演奏を提示してきたピアノが、リスト風の大見得をきり、メルケルらもまた大きくテンポを揺らしてロマンティックなダイナミズムを発揮、しかし、結果としてズレない!見事な名人芸だ。メルケルの音色は清朗ではあるものの今の耳からすればやはり懐かしいものがあり、それが活きているのもこの四楽章である。なかなかよかった。○。