湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ドヴォルザーク:交響曲第9番

2005年09月15日 | 北欧・東欧
〇マルコ指揮フィルハーモニア管弦楽団(DECCA他)1956/2/16、17・CD

古い録音(ステレオ初期)のせいかぼんやりして安っぽい。でも落ち着いた重心の低い演奏ぶりはマルコらしい実直なもので、オケコントロールはしっかりしており、滅多に揺れないのはドイツぽい(ロシアだが)。とにかく木管が素晴らしい。フレージングが人工的なところは多分指揮者の指示によるのだろうが時折独特で面白い。ほんらい奏者任せで歌わせるところを歌い方まで譜面に書かせてそのとおり吹かせているかのよう。全般にオケの音色の美しさが際立っており、はっきり言えば詰まらない解釈をオケの力で随分押し上げている。細部まで手を抜かない真面目なスタンスを彩るのはイギリスらしいパステルカラーだが、このくらいのコントロールされた響きを実演で聞いたら余りの心地よさで眠りこけてしまうだろう(私はきっと唖然としたままである)この「録音オケ」の最盛期ならでは、真骨頂。二楽章の人生すら考えさせるような音世界の静謐さは激しい演奏ばかり聞いてきた者には結構印象深い。全般にも静謐な表現の際立った演奏だ。三楽章は弦などパワー不足は否めないがアンサンブル能力やノリは素晴らしい。速い。流れるようなテンポ廻しの妙は中間部(副主題、緩叙部)で味わえる。四楽章も落ち着きはらったものだがオケのアンサンブルは完璧だ。スコア片手だと愉しめるか。ヴァイオリンのフレージングの揃いが甘いが(本数が少ないのか?)録音位置の関係でそう聞こえるだけだろう。最後はけっこうドイツふうに盛り上がる。ホルンが心根深い音で大団円前の回想を演出する。全般あまりにマジメ過ぎるが印象深い演奏だった。〇。

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