前に都心周辺の東急沿線はほぼ一駅に一つしか銭湯が残っていないと書きました。大井町線は旗の台に集中していますが、目黒線はやや歩く清水湯のある武蔵小山を除くと一駅に一つもないところがあります。田園調布はもとから無いとは思いますが、その残ったところも完全に新しく作り変え工夫を加えてもはや銭湯とも言い難い業態になっていたりする。学生や家族の住む住宅街もかつて風呂がない家(アパート)が多かったので、70年代まで駅すら関係なく町に一つはありました。温泉でもなく薬湯すらなく無論サウナもなく、ただ大きい風呂桶がある浴洗機能だけの公衆浴場です。薪で炊くためスペースもとり、高い煙突のメンテも必要で、大変です。狭い商店街ともなると火が出る危険性もあって、お金をかけてガスに切り替えないと現代では厳しいかもしれない。奥沢駅チカ商店街すぐの松の湯はほんと昔ながらの公衆浴場ですが、環境は厳しいながら薪でやっています。外見の古さに比べ中はいいように鄙びていて、ボロボロでなく、原型を留めた番台の若いご主人がレトロ風にがんばって維持されています。浴場も昭和レトロで、薪をたくような独特の香りがしてくることもありますが、それも味と感じて熱い湯につかり白ペンキ塗りの高い天井を見上げます。バーガンディカラーのタイルで彩られた一昔前の丸い回転湯浴槽と深浴槽と赤外線ライト・ジェット付大浴槽で、高齢者がたくさん来ることもあり正直匂いがあることがありますが、熱い湯がぬるまった夜には若者も多く、落ち着けます。白湯だけでサウナも何もありませんが貴重なこのエリアの銭湯、残っていてほしい。玄関の福助と、対面の熱帯魚屋もレトロ。
隣の駅といっても少し遠い大岡山駅は大井町線の駅でもあります。東工大の城下町でしたが、洗足池あたりまで集合住宅が増えニューファミリーでも活気があります。この駅には八幡浴場があります。ただ、駅チカとは言えず、駅から行くなら地図を見たほうがいいと思います。ボクシングジムを目印に左折して坂を下ると右手に入る道、わかりにくいのですがマンション裏にまだ新しい銭湯の入口が見えます。15年あまり前にリニューアルし、かなり意欲的に活動している公衆浴場スタイルの銭湯です。リニューアルから時間が経つと設備が壊れたり腐ったりするところもありますがここは大変清潔に保っています。また東工大が近いせいでしょうか?スペースを有効に使った合理的で機能的な構成が使い良い。拡張を繰り返した銭湯では謎構造や無駄スペースが見られるものですが、ここはリニューアル時の設計からの改変が一切ない。サウナはなく、浴室は確かに広くはない。でも固定シャワーながら洗い場は沢山あり、天井の高さで圧迫感がありません。ここが重宝するのは広い浴槽です。大浴槽にあたるところは軟水化され、ぬるぬるからキュッキュッになります。過度ではないので入るだけでなんとなく肌がよくなる、というかんじ。バイブラの広い部分が人気です。一揃いのジェットバブル設備のあるスペースでもゆっくりつかるだけのスペースの余裕があります。湯も設備も綺麗。壁で仕切られた二席ある座湯はスイッチでジェットが出ますが、珍しいのは日替わり薬湯であるところ。座湯の薬湯でキンキンの水枕。ここのお湯は少し熱めに感じても、こちらの薬湯は慣れると心地よいくらいです。薬湯も汚れることが多い設備ですが、バイブラもあるのでわかりませんが、ここは多分かなり綺麗ですね。掃除が凄いのだと思います。喫煙テラスには禁煙と貼ってありました。時代です。
洗足駅は銭湯は無かったと思います。西小山駅はむしろオシャレマンガ喫茶でおなじみの東京浴場があります。武蔵小山駅はおなじみ温泉二種の清水湯、軟水とサウナ無料の入間湯ともに駅チカではありませんが、もう少し歩くと月光泉もあり薬湯とサウナ無料。清水湯は混みますが余所者には入りやすい。武蔵小山駅は寒くて歩きたくないときは一つもなく、歩けると3軒もある駅になります。目黒まであと二駅ですが、こっちも廃業が多く、あと1軒くらいではないかな。。不動前駅からはメタケイ酸泉で大変古風を保った宮造り銭湯、松の湯へ行けます。