チョン・キョンファ(Vn)プレヴィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(arthaus)1982ロイヤルフェスティヴァルホールLIVE・BD
顔色の悪い作曲家がブラヴォと言っているのが見える有名な記録で、80歳コンサートの白眉だったのではないか。このコンビで別のライヴもたしか音で出ており、セッション盤はこの曲をリヴァイヴァルさせるほどヒットした。多分この時点でこの曲をちゃんと認識していた外国人はおらず、これをもって皆演奏するようになったのだろう、激烈スタイルが似通っている。荒いのは荒いが技巧が荒いのではなく気迫に押されて音が撚れるだけだ。プレヴィンは小粒のスタイルで(オケの編成もだいぶ小さい気もするが改訂のせいか)器用にさばくが、一か所どうしてもミスにしか聞こえない音があり、ほかにもあるかもしれない、ライヴなりの精度ではある。若いコンマスのチョン・キョンファを見つめる鋭い目が怖いが、最後はやりきった感の前に牙を収めている。最初に聞くには向くが、個人的には凝縮力のあるハイフェッツがききやすい。
プレヴィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(arthaus)1982ロイヤルフェスティヴァルホールLIVE・BD
作曲家80歳記念コンサートの映像で、よく知られたものとなっている。最晩年の作曲家臨席のうえオールウォルトンプログラムが組まれ、国歌と何かの間奏曲のあと前プロとしてこれが演奏されている。映像収録目的のせいかステレオであるものの音響バランスに違和感のあるところもあり、またイギリスネオロマンチシズムの泰斗・・・すでにそうとうに衰えが見える・・・を迎えての異様な雰囲気がそうさせているのか、荒く力んだこのオケらしくない派手志向の演奏になっている。もともとの音質にそれがあわずスカスカで痩せて聞こえるところもある。中盤エリザベス二世の戴冠式映像が入るのが、翌年亡くなってしまう作曲家と、その映画音楽の影響を受けたハリウッドSF映画が一世を風靡していた時代、さらに現在女王は元気に国の行く末を見守っていることを思い、時間の不思議な交錯に少し感傷的にもなる。プレヴィンは若々しい。老けてしまい、亡くなってしまった。
Leopold Stokowski - Complete Decca Recordings | |
音の魔術師ストコフスキー没後40周年記念ボックス! | |
Decca |
ストコフスキ指揮フィラデルフィア管弦楽団(victor)1930/4/30・SP
イマジネイティブな主題をピアノという楽器の世界だけで壮麗に描き出した名曲、それをまんま管弦楽に置き換えて、ブルターニュ伝承の鐘の音はそのまんま鐘に鳴らさせたり、とにかく即物的だが、一瞬「あれ?これ誰の曲?奇麗」と思わせるほど楽曲としては成立しており、まあ、いきなり海底から大聖堂が飛び出し、すぐにズボンと引っ込んで、ズルズルと続くような感じも、この短い時間でこの大編成ではしなくもないが、録音の悪さを脇に置けばそれなりに聴ける。ガストン・プーレか誰かもこれをやっていたような気がする。それだけ魅力的な作品なのだろう。
ワイエンベルグ(P)プレートル指揮パリ管弦楽団(SLS)1970/4/16live
このピアニスト、私は好きなのですが、とにかく明るくて軽く、また時折おそすぎる。技巧的にも少し衰えがでてきてたのかな、というところが無くはないがこの録音ではほとんど気にならない。柔らかい音を出すのもポイントで、ガツンとくるチャイコフスキーはここにはない。柔らかく、明るい。そういう演奏です。ステレオ。
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