湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆スクリアビン:交響曲第4番「法悦の詩」

2018年01月08日 | スクリアビン
○ストコフスキ指揮RPO(DA:CD-R)1969/6/15live

最後は拍手喝さいの雨嵐でいかに「生」が凄かったかを伺わせる演奏記録。ストコフスキ・クレッシェンドは確かに効果的だ。しかし演奏自体アクが強いかといえば全くそんなことはなく、寧ろ普通にすら思えた。曲の特殊性からきている部分も大きいだろう・・・これは手を入れたり見栄を切ったりすることに躊躇のいらない曲なのである。その裏返しで、どう極端にやっても効果にそれほどには差は出ない。何しろDA盤なのでエアチェック音質に輪をかけたような音であり、○より上はつけられないが、颯爽とした面と気を煽る面のバランスの非常によい演奏。

※2006-11-26 22:08:28の記事です
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☆スクリアビン:交響曲第3番「神聖な詩」

2017年07月05日 | スクリアビン
○イワーノフ指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(melodiya)LP

雑味多くバラバラ感の強いいかにもロシア流儀の演奏で、押せ押せで流れてってしまうガウク的な部分含めこういうひたすらな半音階的旋律が続く曲ではいささか辟易しなくもないが、オケ内部から湧き上がる表現意欲の強さは買うべきだろう。これほど揃わない気持ち悪い演奏なのに強く惹かれるのである。録音はやや悪く、私の盤はさらにB面の中ごろが歪んでいてピッチが定まらず物凄く気持ちが悪い。ただ、前期(中期の前期?)スクリアビンがちょっととち狂うともうこういう「現代曲」に変容してしまうのか、と面白く感じるところもあった。妖しい動きはやがてほんとに妖しい和声感に満ちた世界へと変貌していく、この曲はその瀬戸際の曲であり、交響曲としての大きなまとまりをもった最後の曲である。普通の人には薦められないが、とにかく「本場モノ」としての確信に満ちた表現を買って○。

※2005/7/20の記事です
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☆スクリアビン:プロメテ~火の詩(交響曲第5番)

2017年05月31日 | スクリアビン
◎カステルスキー(P)イワーノフ指揮モスクワ・フィル(RCD)1975live・CD

力強く、烈しく、引き締まったベートーヴェン的スクリアビン。幻想よりオケの力が勝り、その各声部のやりとりのスリルが堪らない(スリルと言っても技術的スリルではない)。ピアノはオケの一部と化し殆ど目立たない。余り派手なピアニストではないようだ。それでもとにかく、たとえばこんな迫力の演奏を実演で目の当たりにしたら圧倒されてしまい、このライヴの終演後のザワザワする会場の反応同様、どう反応したらいいのか、途方に暮れる可能性もあろう。イワーノフの実力、このころまでのロシアオケの真髄を見る思いだ。ペットが凄い。即興的感興を流すようなつかみどころない曲ではあるし、最後の壮大な盛り上がりも録音の音場がやや狭いせいか広がりが足りない感じもするが、リアルな音の交歓だけでも十分味わうに足るいわば純音楽的演奏だ。ステレオ。

※2006/2の記事です
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☆スクリアビン:交響曲第3番「神聖な詩」

2017年03月13日 | スクリアビン
○シノーポリ指揮NYP(DG)CD

スワロフスキの弟子らしい分析的な演奏で、ドイツ的な構築性を前面に出し透明感と客観性を失わない。音色による音楽の実現を志向することはないが、どこかしらマーラーを意識したような(スクリアビンは交響曲作曲にさいし「復活」実演からの強い影響を受けていると言われる)柔らかい膨らみのある音響によって無味乾燥になり過ぎることを避けている。但しここにおいてマーラーオケであるNYPからの逆影響は無いだろう。

シノーポリも早世してのち急速に忘れられていっている指揮者だが実演向きの現代指揮者(師匠マデルナも早世した)だっただけに、真価のよりはっきりとした痕跡が残せなかったのは悼まれる。

この曲は元来厚ぼったく後期ロマン派のうちにあり、ロマンティックにやるところに意義があるとかんがえればこの演奏に価値はないが、旋律とハーモニーだけ見れば長大で繰言ばかりの音楽の、内声部に秘められた細かい音符が装飾音ではなくきちんと機能的に働くように出来ていること、一見単純なスコアリングを、実演で整理整頓していく事によりいかにもピアニスト作曲家らしい精緻な立体構造が立ち現れる、そういう真価を見出すには唯一無比なところがある。スクリアビンが苦手な人や、中期までのピアノ曲は聴けるが、管弦楽曲は長くて臭い・・・という向きは一回試してみるといい。

ま、印象には残りにくいけど。○。
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☆スクリアビン:ピアノ・ソナタ第5番

2017年01月26日 | スクリアビン
○ソフロニツキー(P)(Arlecchino,MELODIYA)1955/1/14LIVE・CD

ソフロニツキーの録音はかつては復刻が進まず、LPがなかなか入ってこなかったこともありえらくマニアの間で希少価値を問われ人気があったが、今は復刻が増えすぎて(存在自体ありえないと思わせたステレオ・ライヴ録音すら出)マニアだった私も網羅することをやめてしまった。モノラルの古い録音がだんだんと売れなくなってきたのか、再び話題を振りまく類の演奏家ではなくなってきている感もあるが、この演奏など聴くと、残響が加えられ音質が改善されてはいても、基本的にデッドな響きの中で、ペダルを殆ど活用せずにひたすら激しく打鍵するさまは独特の即物的なスリルがあり、打鍵が荒すぎて音に雑味が混ざることも厭わず力強く突進し、突然尻切れで終わる(ひょっとすると最終音を叩いたとたん立ち上がってるかも)のは楽しい。アメリカのバリ弾きピアニストとも違った土俗的な深いものも感じさせる、泥臭さが解釈的には洗練されたものとあいまって、10年前にはまず一押しにしていた演奏だが、今聴くとちょっと、華麗と言うより呪術的なノリを感じさせるロマン性と前衛性のハザマで、絶妙のカッコのいい盛り上がりを作る単一楽章の、起承転結を無視して(スクリアビンは晩年を除き理知的な形式感覚を大事にしていた作曲家である)弾き切った感があるので、○に留めておく。ただやはり作曲家の娘婿であるこの大ピアニストの力量は認めざるを得ないと言えよう。聴くにつけピアニストとしての盛期が過ぎていると感じられることも考慮して。
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☆スクリアビン:交響曲第2番

2016年11月22日 | スクリアビン
○ロジェストヴェンスキー指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル(bis)1972/11/26live・CD

とても聞かせる技に長けた指揮者で面白い演奏を紡ぐ職人と言ってもいい。そのため深みに欠ける場合もなきにしもあらず、この演奏も急くようなテンポで表層的なドラマ表現が目立ち、前半楽章の暗澹たる雰囲気や中間楽章の繊細な抒情などに今ひとつ物足りないものも感じるが、全体としては面白くできている。中間楽章はともかく前半楽章の暗澹たる雰囲気が至極苦手な私はいきなり楽しく聞けて寧ろよかった。初心者向けと言いたいところだが、オケがいかんせん楽譜についていっていないところが多く、録音のホワイトノイズを含めロジェストの意図を表現するに最良の状態とは言いがたい。これは曲によるものと言っても過言ではない。ワグナーへのオマージュがちりばめられた楽曲であり(1楽章前半のブラスからいきなり度肝を抜かれる人もいるかもしれない)、弦にとっては非常に弾きにくい複雑な装飾音符がえんえんと続いたり、リズムの奇妙にずれた細かい音符の多用や半音階的で独特の旋律は弾き慣れないと巧くまとまって響かせることができない。3番と2番の違いはひとえにこの部分が大きい。だからまともな2番の演奏というのは案外少ないのである。

この曲をワグネリストであるリムスキーは大絶賛しペトログラードでの評判はおおむね上々だったという。今の耳からすると豪快な楽器法や強い旋律性(作曲家ものちに恥じたあまりに恥ずかしい終楽章の旋律を代表とする)にはロシア様式が現れているし、作曲技法上の工夫、表現方法、そして与える印象は当時の最先端の音楽・・・マーラーなどの西欧音楽・・・に接近もしくは並行したものを感じさせる。何も知らないで聞くと寧ろ後者の印象が強くてロシアの曲であるという意識を持てないかもしれない。いずれ国民楽派の時代においては異端であり西欧かぶれでありながらも中間をいった異色交響曲として、マニアなら一度は聞いておいたらいいと思う。前半で寝ないこと。ロジェストが来日公演で取り上げたこともある。
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☆スクリアビン:交響曲第3番「神聖な詩」

2016年11月18日 | スクリアビン
○コンドラシン指揮ACO(ETCETRA/RCO)1976/2/12live・CD

実はけっこう手堅い演奏で地味だが、後半になるにつれテンションが上がりミスも混ざるもののライヴとしてはなかなかのしっかりした演奏になっている。1楽章は特に手堅く神との闘争を描いたにしてはいささか大人しい。だがオケはさすが大したもので巧く、木管の音色など素晴らしい。ダイナミックな曲想の連続で大仰にやればいくらでもできる非常に演奏効果の高い音楽だけれども、コンドラシンは敢えて引き締めることにより下卑ることなく純音楽的に高度なものを作りだそうとしているようだ。スクリャービンはじつはけっこう曲想に乏しいところがあり、非常に美しく印象的なメロディを造る反面ひたすらそれを繰り返すだけで長大な音楽に仕立ててしまうところが、中期にあたるこの3番までの交響曲では目立つ。そのため飽きも来易いのだけれども、この演奏くらいしっかり出来ているなら飽きないかもしれない。中間楽章である2楽章は出色の出来で、ねっとりと描かれる「人間の快楽」が、何か非常に高貴で憧れに満ちた希望の音楽に聞こえる。作曲家の貼り付けた標題を音楽が凌駕した見本のような楽章であり、緩徐楽章が得意なスクリャービンの面目躍如たる音楽なだけにコンドラシンもらしくないほどに思い入れをもって演奏しているようだ。再び楽想が戻り3楽章に突入すると1楽章とは少し趣の違う、これこそコンドラシンという強烈さもブラスの響きに聞き取れたりしてくる。思わずペットが裏返ったりしているが御愛敬。神聖な遊びという標題の意味するところは或る程度表現できているが、高みに登り神と合一するイメージはやや弱い。しかし純粋に音楽的なものを求めているのであればこうなるのは必定か。総じてまあまあ。一応○にはしておく。

(後補)RCOライヴボックス4・1970年度(2007/2末発売)収録の音源と同一。
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スクリアビン:交響曲第3番「神聖な詩」

2014年03月08日 | スクリアビン
ロジンスキ指揮NBC交響楽団(sls:CD-R)1939/1/1live

DANTE盤が前日の録音とされており、一楽章などかなり似通っているのだが、後半録音時間に違いが生じており、別録の可能性が高い。SLSは初出表示はしていない。ノイズが破滅的に吹き荒れる復刻状態で音量すら一定に保たれないため、慣れたすれっからしにすらとても勧められないが、ロジンスキの即物的な解釈はスクリャービンの過剰なロマンチシズムを雄渾なドラマに仕立て上げ、それなりに聞かせるものとなっている。オケがいい。
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スクリアビン:練習曲嬰ハ短調op.2-1(ストコフスキ編)

2013年07月11日 | スクリアビン
○ストコフスキ指揮ハリウッドボウル交響楽団(scc:CD-R)1945/8/26live

亜流ショパンとかそのへんの前期スクリャービンではあるが第二主題とでも呼ぶべき静かなフレーズにはあきらかにロシア国民楽派の手法が聞いて取れ、スクリャービン自身の嫌ったロシア臭が、ストコフスキーの下品な表現によって顕にされているのが面白い。編曲はセンスがあるがいささかスクリャービンらしくない感もある。ストコフスキーが好んで取り上げた編曲小品。ショスタコやラフマニノフにもある。私は網羅するほどマニアではない。
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スクリアビン:二つの小品(op.11-9,10)

2013年07月05日 | スクリアビン
○ジョイス(P)(columbia)1941/11/11・LP

ショスタコの協奏曲の穴埋めに入れられた二曲で、ジョイスの確かな指を感じられる。
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スクリアビン:ピアノ・ソナタ第5番

2013年02月18日 | スクリアビン
○ホロヴィッツ(P)(?)1974/11/17NYlive

METのライヴの一曲で、この頃の定番のレパートリーとして必ずコンサートの演目に入っていたようだ。正規録音化されておらず録音は悪いがwebで聴けるので、比較的安定した演奏として聴いてみてほしい。ノイズの中からも煌びやかなホロヴィッツの万華鏡が展開されるさまは壮観。但し、技術的問題もあることはたしかで、万華鏡がところどころ割れたり歪んでいるのが惜しいが・・・テンポが安定している反面一本調子かもしれない。
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スクリアビン:ピアノ・ソナタ第5番

2013年02月18日 | スクリアビン
○ホロヴィッツ(P)(?)1976カリフォルニアlive

ホロヴィッツの数ある録音のうちのひとつで決して状態はよくない。客席録音のようだ。しかし聞き取れるのはホロヴィッツがかなりロマンティックに大きな起伏をつけ、没入型の演奏を提示していることで、よたるようにやや危うくなる部分も厭わず同曲のファンタジーを存分に引き出そうとしていることがわかる。凄まじいブラヴォが入る。ホロヴィッツには何故か70年代中期の録音が正規非正規問わず多く、もっと昔の録音、バリバリやっていた時期のものを聴いて見たかった。普通の人は正規録音一つ聴けば十分でしょう。
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スクリアビン:ピアノ・ソナタ第5番

2013年02月18日 | スクリアビン
○リヒテル(P)(PRAGA他)1972/9/24プラハ・CD

好戦的な時代のリヒテルで清々しいほどに即物的。ペダルを使わず音を粒立てて音楽の煽情性は楽譜そのものから立ち上らせるやり方で非常にかっこいい。まだロマンティックで中期交響曲との関係性の濃い作品だが、この演奏からは乾いたロマンチシズムが感じられ、技術的な安定性をもってちっともほころびなく進む。野暮ったいロマンとは無縁である。強靭なタッチと細部をおろそかにしない完ぺきなピアニズム、リヒテル黄金期の記録だろう。私の手元の音源はモノラルなのだがステレオとのこと。
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スクリアビン:交響曲第3番「神聖な詩」

2013年02月11日 | スクリアビン
○キタエンコ指揮BPO(dirigent:CD-R)2010/5/29live

底から轟くような響きで展開されるスクリアビンで、客観性が感じられる点はハイティンクの全集盤にやや近い感じか。スクリアビンでも断トツのロマンチシズムが盛り込まれた法悦的な中間楽章が同曲の聴かせどころであるが、ロシアオケに比べ構築的なあまり跳ねず地味になるのがドイツオケ、この演奏も交響的で色彩はやや地味かもしれない。とまれ中低管の活躍する両端部はかっこがよく、キタエンコの円熟とあいまってほどよく楽しめる。雄大なフィナーレは聴きもので聴衆も盛り上がる。
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スクリアビン:交響曲第3番「神聖な詩」

2011年12月09日 | スクリアビン
○セムコウ指揮ワルシャワ国立フィル(STOLAT)LP

あっけらかんとしたところはあるが、中庸という表現が最も似つかわしいか。特長は挙げづらいが聴きやすく適度に楽しめる。この曲にも注ぎ込まれているどろどろしたものは殆ど濾過されているようで、オケの特性でもあろうが、純音楽的だ。○。
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