〇スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(WEITBLICK)1978/3/11スウェーデンlive・CD
ソヴィエト崩壊前後以降のこの曲の演奏はそれはボロボロなものだった。それまで一番大事と思われた指揮者に比べてオケおよびソリストの重要性が実感されたものだ。骨のようなオケゆえにこの曲のスケルツォや4楽章の丁々発止のアンサンブルが剥き出しで見えて面白かったが、この録音はそんな些末なことで楽しませない。スヴェトラ壮年期の素晴らしい、この上ない意気軒高とした演奏記録で、晩年の弛緩も音の薄さもなく、ノイズののる録音がすこしエアチェック音源的な聴きづらさをもたらしているのでそのぶんマイナスにするが、本来なら◎である。古いスヴェトラ正規録音は当時の録音事情から何度も録り直しをしないで雑なままにされている乱暴な面があり、モスクワとの古いものはとてもいい音で解釈もダイナミックなのに、諸所事故めいた凸凹が気になった。これはスピーディでダイナミック、かつ3楽章は柔軟でラフマニノフが要求するものをほとんど持っている。出張演奏ということで管楽ソリストの音がおとなしく、1楽章などもっとえぐぐ吹いてほしいと思うが、全体の調和のうえではいい。ラフマニノフ2番はこれしかなくていい。ただ、ノイジーなので、ソヴィエト末期以前なら他でもよい。ロシア国立交響楽団の表記があるが、当然当時はソヴィエト国立である。