ロジンスキ指揮RPO(westminster/scribendum他)1958/4-5・CD
ロジンスキは色々振っているものの割と演目を選ぶところがある。得意はリヒャルト・シュトラウスをはじめとする近現代の中欧音楽であり、次いで国民楽派以降のロシア音楽。規模が大きな作品ほど板についてくるのはミトロプーロスのように即物的指揮者であるせいか。余り作品によってスタイルを変えることなく技巧で押し通すうえで、センスに合う合わないは出てくるもので、ラテン物は合わない方だと感じる。リズム感があまり良くなく縦に整えた感じが強い(それでしかもドイツ的な表現主義の雰囲気もない。特徴はゼロである)。セッション録音尚更、救いはオケが透明感ある技巧派のロイヤル・フィルなところで、それでもガチャガチャしてしまう、スタジオですら軋みを生じているのはもうファリャの力の入れどころと抜きどころをわきまえず全部に力を入れようとした感じである。木管ソロなどうまいが、合奏はノリが悪く教科書的ですらある。発音のみにロジンスキらしいキレが感じられ、前半は響きもよく浸ることはできるが、北方的で固いのは致し方ない。第二組曲は世にあまたある録音の中で凡演と言わざるを得ない。もっと盛大に弾けるためには聴衆の存在が必要だったのだろう。