フレモー指揮バーミンガム市立交響楽団(EMI)CD
ウォルトンの「お仕事」系の最たる作品で、編曲技術の陳列といったふう。中プロに現代作品を、と思った選曲担当が困ったとき権料をおいても選ぶたぐいの無難な編曲作品(ストコフスキより数百倍無難である)。軽くて聞き流せるがバッハ原曲の数学的な構造の面白みをちゃんと適切に拡大して配しており、ごく一部にウォルトンらしい派手な音も入るが、この演奏は特に無難ではないか。
フレモー指揮バーミンガム市立交響楽団(EMI)CD
ウォルトンの「お仕事」系の最たる作品で、編曲技術の陳列といったふう。中プロに現代作品を、と思った選曲担当が困ったとき権料をおいても選ぶたぐいの無難な編曲作品(ストコフスキより数百倍無難である)。軽くて聞き流せるがバッハ原曲の数学的な構造の面白みをちゃんと適切に拡大して配しており、ごく一部にウォルトンらしい派手な音も入るが、この演奏は特に無難ではないか。
チョン・キョンファ(Vn)プレヴィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(arthaus)1982ロイヤルフェスティヴァルホールLIVE・BD
顔色の悪い作曲家がブラヴォと言っているのが見える有名な記録で、80歳コンサートの白眉だったのではないか。このコンビで別のライヴもたしか音で出ており、セッション盤はこの曲をリヴァイヴァルさせるほどヒットした。多分この時点でこの曲をちゃんと認識していた外国人はおらず、これをもって皆演奏するようになったのだろう、激烈スタイルが似通っている。荒いのは荒いが技巧が荒いのではなく気迫に押されて音が撚れるだけだ。プレヴィンは小粒のスタイルで(オケの編成もだいぶ小さい気もするが改訂のせいか)器用にさばくが、一か所どうしてもミスにしか聞こえない音があり、ほかにもあるかもしれない、ライヴなりの精度ではある。若いコンマスのチョン・キョンファを見つめる鋭い目が怖いが、最後はやりきった感の前に牙を収めている。最初に聞くには向くが、個人的には凝縮力のあるハイフェッツがききやすい。
プレヴィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(arthaus)1982ロイヤルフェスティヴァルホールLIVE・BD
作曲家80歳記念コンサートの映像で、よく知られたものとなっている。最晩年の作曲家臨席のうえオールウォルトンプログラムが組まれ、国歌と何かの間奏曲のあと前プロとしてこれが演奏されている。映像収録目的のせいかステレオであるものの音響バランスに違和感のあるところもあり、またイギリスネオロマンチシズムの泰斗・・・すでにそうとうに衰えが見える・・・を迎えての異様な雰囲気がそうさせているのか、荒く力んだこのオケらしくない派手志向の演奏になっている。もともとの音質にそれがあわずスカスカで痩せて聞こえるところもある。中盤エリザベス二世の戴冠式映像が入るのが、翌年亡くなってしまう作曲家と、その映画音楽の影響を受けたハリウッドSF映画が一世を風靡していた時代、さらに現在女王は元気に国の行く末を見守っていることを思い、時間の不思議な交錯に少し感傷的にもなる。プレヴィンは若々しい。老けてしまい、亡くなってしまった。
ウォルトン:交響曲第1番/パルティータ(イングリッシュ・ノーザン・フィルハーモニア/ダニエル) | |
ウォルトン,ダニエル,イギリス・ノーザン・フィルハーモニア |
Johannesburg Festival Overture | |
イングリッシュ・ノーザン・フィルハーモニア |