湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」全曲

2007年07月31日 | ストラヴィンスキー
○グーセンス指揮LPO(Ades)

ハデハデのステレオ録音でグーセンスも毒々しいくらいに色彩的な迫力をもって煽ってくるから、クラシック的というよりポップス的な感覚で楽しめる。ただ、基本的にグーセンスは派手な管弦楽処理を行うものの解釈自体は実直で、揺れず生硬なテンポを維持していく「縦の指揮者」の側面が強く、面白さは純粋に録音のよさに起因しているだけなのかもしれない、などとも思う。始終うるさい演奏ではあるので、周囲に気をつけましょう。○。
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ヒンデミット:チェロ協奏曲

2007年07月30日 | ドイツ・オーストリア
○マイナルディ(Vc)作曲家指揮NDRハンブルグ放送交響楽団(stradivarius)1960年代・CD

世界の調和短縮版のおまけとして収録されているもの。ステレオの極端に歪んだ録音だが音はクリア。マイナルディは少し弱いが録音のせいか。技術的にはなかなかすぐれてヒンデミットのマニアックな動きをとらえて抒情性を引き出している。全般やや長いが「調和」のころの叙情的なヒンデミットに還った曲でありききやすい。弦楽器に精通していたヒンデミットだけあってチェロの音域と他パートやブラスの切り分けや融合の具合が巧緻で無理が無くとりとめのない音楽の流れをただ楽しめる。いやとりとめがないといってもヒンデミットの古典的構造性が発揮されており、その中にも極めて静謐な金属的な音響による印象派的世界が織り交ぜられるさまはこの曲の独特の魅力になりえている。ヒンデミットの四角ばった指揮もこの現代物にもたけたオケを鮮やかにさばいて秀逸。演奏レベルは素晴らしくよく、録音マイナスが痛い。激しい音響とヴァイオリン協奏曲あたりのウォルトンに近似したかっこいい作風に最後まで酔える。○。
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あなどれないMEMORIES

2007年07月30日 | Weblog
青のシリーズで版権切れの未CD化盤が混ざってきたもよう。今まで廃盤CD-Rの焼直しがほとんどというか私見では表記ミスがあるだけで全部そうだったものが、一部版権切れ板起こしを混ぜ始めたはいいが、まさかコンヴィチュニーのフレンニコフ2番(ベルリン放響の55年スタジオ録音)が復刻されるとは!見なおした。ブラーナにブリテンのコンチェルト、、、思わず既出盤にもデジタル初出がないか見返してしまいました。ミュンシュNBCの記載ミスを再発見しただけだった。。

ちなみにドビュッシーの映像全曲というのはイベリア単独の誤りね。日本語札には正しく書いてます。前に買って失敗したやつだ、忘れてた(TREASUREなんたらいう現存しないRレーベルからの流用、ミュンシュ唯一の客演てやつね)。
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ミヨー:フランス組曲

2007年07月30日 | フランス
○チェリビダッケ指揮ベルリン・フィル(BP)1951/3/31・CD

この盤は全般残響付加とノイズリダクションが目立つが、演奏的にはチェリのフルヴェン的な覇気溢れる前進力と既に現れている構造への神経質な配慮が同時にあらわれたなかなかのものと言える。喜遊的にやらずともこの曲は面白く聞かせられる、チェリがだいぶ後年まで取り上げ続けたことからも楽曲的に脆弱でも何でもなく寧ろ計算された構造に妙がある楽曲の集合体であることがわかる。だがまあ、そこまで神経質でもなく、どちらかといえばベルリン・フィルがまるでベルリン・フィルじゃないくらいの「多少透けた」音を出しているところに聴きどころがあるか。○。
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ラヴェル:弦楽四重奏曲

2007年07月27日 | ラヴェル
○カペー四重奏団(EMI他)1927-28・CD

ラヴェルの演奏方法として当初一般的だったのは寧ろかなり非ロマン的な演奏だったのではないか、とインターナショナル四重奏団などラヴェル監修とされた録音をきくにつけ思うが、カペーは違う。カペーも確かに即物的な解釈で演奏者独自の特徴を出さない方向にまとめているのだが(これはドビュッシーも同じ、のちのブダペスト四重奏団なんかに似たところがある)音色にはロマンティックな時代の奏法が高度な技術に裏づけされた形で注意深く反映されそこが違う点となっている。あからさまに下卑た感情的な音だと客観的解釈には乗りにくいし(そういう演奏もこの曲には多いが)非人間的なまでに音色を金属質にしてしまうとそれはそれで寄る瀬のない演奏となり鑑賞するのが辛くなる(分析するのには都合がよい)。後者はガリミール初期を言っているのだが、しかし、バランスという意味でも演奏自体の完成度という意味でも、全般地味ではあるものの弦楽四重奏史に大きな足跡を残すオーソリティなりの若い楽団を寄せ付けないプロフェッショナルなものが聞けるということでこの演奏は一聴の価値はある。○。音盤のプロデューサーによってけっこう音が違ってくるのでそこも注意。
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ドビュッシー:弦楽四重奏曲

2007年07月27日 | ドビュッシー
○カペー四重奏団(EMI他)1927-28・CD

超有名な古典中の古典の演奏記録だが、そのせいか板起こしにしても注意深くやられているようで時代のわりに痩せも耳障りもなく音がいい。演奏様式にかんしては昔聞いていたときと同様、余りにスタンダードすぎて面白みがないという印象だが、逆に言うとこの時代に現代においてスタンダードと受け取れるようなロマン性を抑えた抽象度の高い演奏を行うことができたというのは凄いことであり、この曲の本格的な演奏史というのはカペーをもって始まったということにも気づかされる。音色は板起こし者によっても差異はありEMIなどはちょっと匂いを消しすぎている感じもするが、それでも色艶が品よく乗った往年の演奏の魅力もそなえたものとなっている。ドビュッシーについてはとくにこれがやはり、古典的な時代における模範といえよう。
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ラヴェル:ラ・ヴァルス

2007年07月26日 | ラヴェル
○ベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団(CAPRICCIO)1988/9/3live・CD

この曲はじつにたくさんの実演・録音記録が存在し、しょうじき全く目新しいものに出くわさないのが実情である(奇演認定できるレベルを達成させることですら難しい)。ベルティーニはまったく正攻法で冷えたリリシズムが最後には熱するという感じだが、まあ、個性的って何なんだろう、この曲で個性なんて表現できるのだろうか、というジレンマに陥ってしまう。○にするしかないのだが。
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ラヴェル:ピアノ協奏曲

2007年07月26日 | ラヴェル
○アルゲリッチ(P)ベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団(CAPRICCIO)1985/12/7live・CD

まず新しいものでは滅多に入り込める演奏に出くわさない難曲だがアルゲリッチの表現力は素晴らしい。野暮ったいロシアスタイルでも鋼鉄機械の現代スタイルでもない、やはりフランス派の表現に近い非常に繊細でしかも変化に富んだ粋っぷりである。オケも若干響きが重いが録音がいい。滅多にこの人の演奏でハマる演奏がないのだが流石こだわりのあらわれた余人を寄せ付けないピアニズムでした。ライヴなりの荒さも録音かホールが吸収。○。
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ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

2007年07月26日 | ラヴェル
○ベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団(capriccio)1989/11/11LIVE・CD

この楽団はけっして技術的精度のもともと高い楽団ではないのである。この演奏でも技術的限界を感じさせる部分はソロ部に若干ある。しかし、ごく細部まで神経質に整えられ音量バランスが注意深く保たれ、完璧に彫刻されたアンサンブルからは全く瑕疵のようなものは聞こえてこない。スコアを完璧にうつすという意味では(音響の整え方がドイツ的で重心が低いきらいがあるが)ベルティーニがマーラーより得意としたと言われているラヴェルとは相性がいい、というのは納得がいく。ボリュームや甘さを排した表現にははっきりドイツ様式があらわれているが楽団のほうの性格の反映かもしれない。とにかく、凄い指揮者だったことはわかる。個性的かというと往年の名指揮者と比べるべくもないところもあるが。
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ライタ:弦楽四重奏曲第7番

2007年07月26日 | 北欧・東欧
○パガニーニ四重奏団(DECCA)LP

テミヤンカ、ロッセールス、フォイダート、ラポルテのメンバー。多産の作曲家はわりとそれぞれの作品は水準以上で平易にもかかわらず情緒的な意味でも強いインパクトのある曲がひとつもなかったりする。この作品も聴きやすい。ロシア国民楽派の影響を新世代の作曲家の立場から強く受けており、チャイコフスキーの室内楽を思わせる人好きする聞きやすさが印象的。喜遊的で無邪気ですらあり、むしろソヴィエト時代になってからの体制側作曲家の室内楽に近いかもしれない。ハンガリー特有のものと言うほどではないが特殊な新しい響きの感じられるところもなきにしもあらず。楽団が多少お仕事的で少し乱れたりするのはご愛嬌。ヒナステラ1番とのカップリング。○。ライタは1892年生まれだからショスタコなんかと同じような世代。
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ヒナステラ:弦楽四重奏曲第1番

2007年07月26日 | その他ラテン諸国
○パガニーニ四重奏団(DECCA)LP

テミヤンカ、ロッセールス、フォイダート、ラポルテのメンバー。同じく現代ものも得意としたハリウッド四重奏団に似ているもののもっと表現に潤いを持たせたような触感が面白い楽団だが、メンバーが安定しないせいか技術的に意外と乱れることもある。この曲はバーバリズムの範疇にあるわりと常套的な前衛で、聴きやすいが凡庸ととる向きもあるかもしれない。繊細な音響的表現において楽団の技量は素晴らしくピッタリはまって美しい。バンバン弾くような表現でも荒々しさが乱れにならずまとまっている。わりとハマるとハマってしまう、嫌になると最初から聴く気をなくすたぐいの野趣のある曲だが、諸所に美感を引き出した、旧いけどいい演奏。○。
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スクリアビン:交響曲第5番「プロメテ」

2007年07月25日 | スクリアビン
○ミトロプーロス指揮VPO(M&A)1958/9/28live・CD

ミトプーにしては良好な録音状態で聞けるスクリアビン畢生の誇大妄想。現代作品に意欲的であった反面わかりやすさを追求しバンスタへの芸風の橋わたしをした側面もあるミトプーではあるが時代の旧い前衛なだけにそれほど聴きづらい演奏でもなく、とりとめのない楽想も印象派音楽的に聞き流せ、むしろあっさり聴きとおせてしまうところがミトプーの巧みなところといっていいだろう。VPOとは完全に相性がいい。アンサンブルと指揮がずれるという場合がこのオケにはしばしば聞かれるがここにはまったく合体して「奇怪な幻想を妖しく」演出していく。リアルにすぎる演奏の気もしなくもないが、スヴェトラと言われて信じてしまう人もいそうなほどに自然に聴ける演奏。職人です。

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マーラー:交響曲第10番~Ⅰ

2007年07月25日 | マーラー
○バーンスタイン指揮VPO(DA:CD-R)1974/10/8live

録音が弱いもののかなり情緒的に柔らかく、しかし重く音楽の進む感じで、独特の軽やかな前衛性が無くボリューム感がありすぎるようにもおもった。Aの咆哮もいきなりだから活きてくるのだが、かなりコントラストをつけているものの何故かいきなりに聞こえない。予測できたような破滅的な雰囲気があるのである。いや、世紀末的と言うべきか。しかしユニテルの映像とほとんど変わらないとも言える。精度はVPOライヴ、推して知るべし。横に伸びに伸びたねっとりした終焉はハッキリこの曲はこれで最後、というバンスタのポリシーが出ている。じつに30分以上かかる長演。いいプレイヤーで聴きましょう(プレイヤーの相性があるようです)。

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ラヴェル:スペイン狂詩曲

2007年07月25日 | ラヴェル
○バーンスタイン指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1972live

意外とラヴェルがあうバンスタだが、オケを選んでいるようにも思える(逆かもしれないが)。美しく、かといって噎せ返るような、とか旋律的ということもなくきちんとしたこの硬質でしかしラテンなノリのある曲を描き出している。リズム処理が明瞭で聴き心地がいい。○。録音はまあエアチェック。
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プロコフィエフ:交響曲第5番

2007年07月24日 | プロコフィエフ
○バーンスタイン指揮イスラエル・フィル(DA:CD-R)1979ザルツブルグLIVE

じつはこの曲の私の刷り込みはバンスタNYPのCBS録音なのだが、プロコ初心者が刷り込まれる要素が多分に含まれている演奏だなあ、と改めて思った。ようは近現代ではなくロマンティックな前時代の交響曲の視点から曲を構築しなおしている、ドイツ・ロマン派の方法論というか響きの作り方の重心からして低く重く引きずるような表現によって軽さが持ち味でも弱点でもあるプロコ旋律をいかにも「ロマン派交響曲の旋律」として聞かせているのである。したがって本来的にこういうやり方がこの曲にあっているかといえば疑問であり、やはり俊敏で冷徹なソヴィエト・スタイルが似合う現代の曲であることからして、違和感しきりなかたもいるかと思う。オケは確かに上手い。NYPよりもヨーロッパ的でなおさら上記の特徴が目立つ。プロコはスポーツだと再三書いているが、ここではスポーツのドキュメンタリーではなくあくまで「作られた」ハリウッドスタイル娯楽大作となっているのが面白いといえば面白い。○。これしか聴けなくなるかこれが嫌いになるか、どっちか。バンスタにはよくあることだけれども。まあ、確かにユダヤ的表現である。
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